ダイレクト出版・パワーゲームメルマガ読者の皆さま、こんにちは!北野幸伯です。
5月9日、ロシアでは、「対ドイツ戦勝記念日」が祝われました。これは、ロシアで最大の祝日です。ソ連時代は、11月7日のロシア革命記念日が最大の祝日でした。しかし、ソ連崩壊後は、ロシア革命記念日を国家として祝わなくなった。それで、戦勝記念日が最大の祝日になったのです。この日のプーチンの演説に注目が集まっていました。「勝利宣言をするのではないか?」、「戦争宣言をするのではないか?」
「戦争宣言」とはなんでしょうか?
ウクライナ戦争のこと、ロシアで「戦争」と呼ぶことは禁止されています。「特別軍事作戦」と呼ばなければならない。「戦争」という言葉を使うと、冗談でなく捕まります。
ところが「特別軍事作戦」が長期化しているので、「そろそろ戦争が起こっていることを
認めるのではないか?」と。
私は、5月9日放送の「ミヤネ屋」で、「勝利宣言も戦争宣言もない」といい、そうなりました。(収録は、5月8日でした。)勝利宣言は、「勝利してないからない」。戦争宣言は、「動員令とセットだからない」と。
どういうことでしょうか?
戦争宣言がでると、18歳から50歳の一般男性が戦場に送られる可能性が出てくる。国民は、「テレビで戦争を見て、ロシアを応援するのはいい。でも、なんで俺がウクライナ人を殺さなければいけないのだ!?」と考えるでしょう。
死ぬ可能性がある男性は、ほとんど反対するでしょう。自分の父親、夫、息子たちが死ぬ可能性のある女性も、ほとんど反対するでしょう。社会の動揺は激しく、プーチンの支持率は急落するでしょう。だから、私は「戦争宣言もない」といったのです。
さて、プーチンの演説。ここで彼は、「大うそ」をいっていました。
一部引用してみましょう。
<ドンバスでは、さらなる懲罰的な作戦の準備が公然と進められ、クリミアを含むわれわれの歴史的な土地への侵攻が画策されていた。
キエフは核兵器取得の可能性を発表していた。そしてNATO加盟国は、わが国に隣接する地域の積極的な軍事開発を始めた。このようにして、われわれにとって絶対に受け入れがたい脅威が、計画的に、しかも国境の間近に作り出された。
アメリカとその取り巻きの息がかかったネオナチ、バンデラ主義者との衝突は避けられないと、あらゆることが示唆していた。
繰り返すが、軍事インフラが配備され、何百人もの外国人顧問が動き始め、NATO加盟国から最新鋭の兵器が定期的に届けられる様子を、われわれは目の当たりにしていた。
危険は日増しに高まっていた。ロシアが行ったのは、侵略に備えた先制的な対応だ。それは必要で、タイミングを得た、唯一の正しい判断だった。>
ポイントは、<ロシアが行ったのは、侵略に備えた先制的な対応だ。>
つまり、「ロシアが先制攻撃しなければ、ウクライナがロシアを侵略しただろう」と主張しているのです。「ウクライナがロシアを侵略する??????????」
国際社会で、これを信じる人は皆無でしょう。ところが、ロシア国民でこの妄言を信じている人は多いようなのです。知人のロシア在住ロシア人ジャーナリストによると、「ロシア国民の70%ぐらいは、信じているだろう」とのことでした。
ちなみに、ロシアによるウクライナ侵攻。理由は、ころころ変わっています。まず、昨年11月に、10万人の大軍をウクライナ国境沿いに集結させたとき。プーチンは、「ウクライナをNATOに入れない法的保証をしろ!」と脅迫していました。
2月21日、プーチンは、ルガンスク人民共和国、ドネツク人民共和国の独立を承認。「平和維持部隊を派遣する」と宣言した。
実をいうと、ロシア国民は、ここまでほとんど反対していませんでした。
「ウクライナ軍が2014年から8年間、ルガンスク、ドネツクのロシア系住民をジェノサイドしていた」という話を信じているからです。
2月24日、プーチンは、ウクライナの首都キーウや第2の都市ハリコフへの攻撃命令を出しました。多くのロシア人が、これにとまどったのです。「なぜルガンスク、ドネツクのロシア系住民を守るためにキーウを攻撃する必要があるのか??????」と。
よくいわれることですが、キーウは、ロシア人にとって、日本人にとっての奈良、京都のような位置づけです。それで、大規模な反戦運動が起こりました。困ったクレムリンが考え出したのが、「ウクライナがロシアに侵略しようとしていた」というウソです。
しかし、プロパガンダによる洗脳というのは、おそろしい。私の知人、友人で、本当に善良な人たちですら、「プーチンは正しい」と断言しています。しかし、いつか彼らも気づくでしょう。かつてドイツ国民の9割が、ヒトラーを支持していた時代がありました。
ロシア国民も、後で「嗚呼プーチンに洗脳されていた」と気づくのです。
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