2014年4月13日日曜日

蓼科だより・339号〜田舎暮らし情報

★ーーーーーーーーーーーーーーーー2014年4月12日(土)★
★テーマ:孫と農楽、苗代の種蒔、ジビエの試練、
     里山資本主義
★ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー★

 この一週間、小二の孫娘が、その姉が母と一緒に海外に行くことになってしまったので、我家に来ていました。
 妻は、大変だと口にしながらもいそいそと世話を楽しんでいるようにみえました。私は、外で農作業をしていると、「お手伝いするね」と言いながらまつわりついてくる孫娘の手をとって作業するのが楽しみでした。この年頃はみな同じなんでしょうが、何でも自分でやりたがります。

 やらせてみるとチャントできるのが又嬉しい。この子はひょっとして天才なのではとジジ馬鹿丸出しです。ですが、この年頃の成長の早いのは確かだと思います。きっとこの頃の教育が大切なんでしょうね。
 今日は、彼女が学校から拾ってきたというヘチマの種をポットに蒔いたり、稲の種籾の手蒔きを一緒にやりました。
ーー
 そうです。今日は私の農楽で一番大切な作業、苗代への種籾蒔きをやりました。しかし、浸種(冷水にやく1ヶ月漬ける)と催芽(発芽を促す)を通じて、ごく一部分ですが、腐ったようになった籾が出てしまいました。
 昨日、催芽桶からだした後で、それを全部ピンセットで取り除きました。今朝6時半頃でしたが、馴染みの農業指導員に診察をお願いしました。こんな早朝なのに彼は近くの育苗センターで作業をしていました。この地域では今頃が苗作りのスタートなのです。
 忙しい作業の機械を止めて見てくれましたが、原因は不明でした。問題はその他の種籾に影響が出るかでしたが、彼はそれは大丈夫と言ってくれたので安心しました。
ーー
 昨年、家の南側の空き地を利用して作った4.6m×5.4mの小さな苗代です。水量は僅かですが、脇に沁みだしてくるきれいな天然水が利用できるのが最高の利点です。
 仲間の宮下氏のアドバイスで作り上げた「手一本植33」と名付けた農法であれば、この苗代で2.4反(24アール:24人分の1年間の米)分の苗作りができます。今年は昨年と同じこの農法で、新しくお借りした田んぼで12アールを作付けする予定です。
 ついでに書きますが、一人分の苗であれば、40センチ×60センチ、深さ15センチのコンテナ二つで、庭先で作ることができます。

 苗代は、5日前から苗代の整備を始め、昨日は新たに作った培土で仕上げ、10ヶ月ぶりに水をたっぷり吸わせて準備完了していました。この培土は、山土とキノコ培地完熟堆肥と籾殻燻炭の混合で作り、EM活性液でpH5~5.5に調整しました。
 苗代土中温度は20℃以上に保たなければならないので、100ボルト10アンペアの土中保温ケーブル(農電)を埋設してあります。しかし、計算通りには行かず、昨年の実績では寒い朝には10℃まで下がってしまいましたが、そこは諦めました。ですが、昨年は素晴らしい苗と秋の実りを得ることができました。

 手撒きで、縦横2センチ間隔を目処に蒔くのは難しいものです。美的感性が問われる作業だと自己満足しながらやりました。それを、孫娘が私の手つきを見ながら真似するのですが、けっこうものになるのを見るのがまた楽しいのです。

 ともかく、「苗代づくり」をYoutubeにアップロードしましたのでご覧下さい。
 追って、種籾蒔きをアップロードします。


ーーーーージビエ処理加工所の試練!

 長くなってしまいますが、余りにも身近に起きた由々しき問題なので当事者の承諾を頂いて書かせてもらいます。

 去る8日夜、隣町で鳥獣処理加工施設説明会という催しがあり、声がかかったので参加してみました。尊敬する知的障害者通所授産施設を経営している社会福祉法人まるこ福祉会の柳澤理事長が計画している事業に対して、地元で反対運動が起こっていると耳に入っていました。
 この十年ばかりジビエはいろんな意味で話題を呼んでいます。
 実はわたしも鹿やハクビシンの獣害に直面しています。

 ことの発端は、ジビエの処理加工施設を授産施設通所者の仕事確保のために造ろうという計画について、地元自治会が1月末の総会で、計画者の説明を一言も聞かずに突然反対決議をしてしまったことです。
 問題は、その決議に至る経過と自治会が計画者の説明も受けつけないという対応にありました。彼は、事態打開の一つの手段として、地元自治会だけでなく広く地域の人々に内容を理解してもらおうとこの説明会を計画したようです。


 説明側には、日本ジビエ振興協議会代表とその上田地区支部長、そして彼と他2名が並び、この順番で挨拶と説明が続きました。私はジビエ料理を食べたことはありますが、ジビエを捕る、処理加工する、料理する話は初めてだったので、説明がみな新鮮でした。
 鳥獣の農産物と林産物に対する被害は日本中で問題になっていることは度々テレビニュースで出るので知られていますが、捕獲や処理加工への対応は法的にも現実的にもかなり遅れていることが判りました。

 彼は丁寧にこの問題の核心を説明しました。強調点は、自治会の反対決議に書かれている施設の説明に重大な間違いがあることと、朝日新聞と信濃毎日新聞の記事に虚偽の内容があることでした。言葉は丁寧でしたが、かなり自治体側に対して厳しい内容でした。しかし、「これが事実です」と締めくくりました。

 この開場には問題の地元自治会の人達がかなり参加していたようです。ところが、その人達に発言を求めても一切の反論もコメントがありませんでした。テレビも新聞社も取材にきている公開討論の場ですから、事実と違うのであれば反論があってしかるべきです。
 ということは、計画者である彼の発言内容は間違っていないと、私も他の聴衆も理解したと思います。
 
 私は一連の説明と質疑を聞いていて、これは根本的におかしいと感じました。地元自治会は彼の説明を拒否しています。何の説明も聞かずに反対するって、どういうこと?

 彼が明らかに法に触れることをしようとしているなら理解もできます。確かに鳥獣の処理加工という仕事は一般的ではありません。しかし、鳥獣の処理は国家的課題であり、獣肉の処理場は日本中にたくさんあります。基本的には家畜の処理と同じ筈です。
 そのような事業に対して、説明も聞かずに話合いもせずに言語道断で反対決議をするなどということが民主主義国で起こって良いのかと思いました。


 私は手を挙げ上記のことを申し上げ、「何故こんなことになったのでしょう」と、質問しました。
 彼の答えは、「私にも理解でません」でした。
 私は、「これは民主主義の冒涜ではないでしょうか」と締めくくりました。更に付け加えるなら、こういう行動をリンチと言うのだと思います。
 因にWikipediaには、次のように説明されています。
「私刑のこと。法律に基づかないで、特定集団(およびそれ自身が定める独自の規則)により決され、執行される私的な制裁」

 左翼系の県会議員や市会議員が反対運動をしていることが伝えられていますが、彼らが好んで口にする民主主義とはいったい何物でしょう。朝鮮民主主義人民共和国という国名の中にある民主主義ではないかと想像しています。自分の考えに合わない者は始末するという異次元の民主主義のようです。
 人により組織により主義主張が違うことは仕方のないことだと思いますし、多様性は良いことだと考えています。そして、民主主義という法に基づく手続きを尊重しようというのが今の日本だと思います。今回の件は、その手続きを蹂躙しているとしか思えません。

 柳澤理事長の社会福祉事業への思いの深さや事業内容を何度か見聞きしていますが、その献身的な取組みには本当に頭が下がります。
 地元自治会の皆さんには、充分話し合い、研究の上納得づくで受入れて頂きたいと願っております。またどうしてもダメであるなら、反対の理由を相手に納得させるのも民主主義的手続きではないでしょうか。

ーーーーー里山資本主義(藻谷浩介著)

 以前から読みたいと思っていましたが、最近友人からも勧められて里山資本主義(藻谷浩介著)を読みました。”田舎暮らし”に言及しているから言う訳ではありませんが、すばらしい本です。
 具体的事例の中には?と思われる部分もありますが、基本思想・理念が現実的で、データも豊富であり、この主張は間違っていないと思いました。そして、NPO法人信州まちづくり研究会で実行しようと考えている「田舎暮らしコミュニティ」づくりに直結しています。
 前号でご紹介したウルグァイのムヒカ大統領の考え方にもつながります。
 本の中から、藻谷先生の里山資本主義の真髄と思われる記述をご紹介します。

<「里山資本主義」とは、お金の循環が全てを決するという前提で構築された「マネー資本主義」の経済システムの横に、こっそりと、お金に依存しないサブシステムを再構築しておこうをいう考え方だ。
 お金が乏しくなっても水と食糧と燃料が手に入り続ける仕組み、いわば安心安全ネットワークを、予め用意しておこうという実践だ、勘違いしないで欲しいのだが、江戸時代以前の農村のような自給自足の暮らしに現代人の生活を戻せ、という主義主張ではない。

 お金を媒介として複雑な分業を行っているこの経済社会に背を向けろという訳でもない。庄原の和田さんも言っている。「お金で買えるものは買えばいい、だがお金で買えんものも大事だ」と。
 前章のオーストリアの例のように、森や人間関係といったお金で買えない資産に、最新のテクノロジーを加えて活用することで、マネーだけが頼りの暮らしよりも、はるかに安心で安全で底堅い未来が出現するのだ。
 ただし里山資本主義は、誰でもどこででも十二分に実践できるわけではない。マネー資本主義の下では条件不利とみなされてきた過疎地域にこそ、つまり人口当たりの自然エネルギー量が大きく、前近代からの資産が不稼働のまま残されている地域にこそ、より大きな可能性がある。

 また里山資本主義は、マネー資本主義の評価指標、たとえばGDPや経済成長率を縮小させる可能性もある。しかしそれは、「簿外資産の活用による金銭換算できない活動が、見えないところで盛んになって、お金に換算できない幸せを増やす。ついでに、お金で回る経済システム全体の安定性も見えないところで高まっている」という話にほかならない。>

(私)この本の情報を検索していたら、偶然ですが、すばらしいブログを発見しました。その投稿者田中淳夫さんは次のように自己紹介しています。

< おそらく森林ジャーナリストを名乗っている者は、日本で私一人だろう。林業ジャーナリストや環境ジャーナリストといった肩書の人はそこそこいるのだが、私はいずれにも属さない。森林を自然レベルから地域社会まで包括的に捉える意味を込めて「森林ジャーナリスト」を使っている。 >

(私)ブログの記事の中から幾つか拾い読みしてみましたが、納得の記述でした。現場をよく見てるなと思いました。ブログのホームページと関心を持った記事のURLを添付します。この田中氏も里山資本主義について大筋賛成を書いてありました。

田中淳夫ブログホームページ
http://bylines.news.yahoo.co.jp/tanakaatsuo/

どこまで森林セラピー基地を増やすのか
http://bylines.news.yahoo.co.jp/tanakaatsuo/20140406-00034290/
日本の林業は、買いだ!?
http://bylines.news.yahoo.co.jp/tanakaatsuo/20140114-00031575/


フッターーーーーーーーー

田舎暮らしコミュニティ・中山道 芦田宿:企画書
http://shinshumachidukuri.blogspot.jp/2014/03/blog-post.html

無農薬玄(白)米の販売
http://daylanbo.blogspot.jp/2013/11/blog-post.html

籾殻燻炭の販売
http://daylanbo.blogspot.jp/2012/02/blog-post.html

農楽のすすめ!
http://tateshinadayori2.blogspot.jp/2011/08/blog-post_26.html

”田舎暮らし”動画がYoutubeに300本以上
http://jp.youtube.com/user/takasukey
メルマガ「蓼科便り」のアーカイブス
http://tateshinadayori2.blogspot.com/

ーーーーーーーーーーー

0 件のコメント:

コメントを投稿