2014年5月15日木曜日

蓼科だより・343号〜田舎暮らし情報

★ーーーーーーーーーーーーーーーー2014年5月10日(土)★
★テーマ:佳境の農楽、田植助っ人募集、
     日本の農業の発展と活性化、農業をしない農家、
     原発なしのドイツ経済
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 春の農楽が佳境に入っています。朝7時頃から夕方暗くなる7時頃まで、少し苛立ちながらも充実した毎日を過ごしております。
 やはり新しい3枚の田んぼの整備は手間ひまがかかります。不耕起栽培でやる12アールの方は、浪板(なみいた:土手からの漏水を防ぐ材料)の布設とヨケ掘りと田面の整備が終りました。

 ヨケというのは避けと書くようです。田の外辺部に小さな水路を造り、そこを経由して耕作面に水を誘導するのです。蓼科山麓から流れてくる冷たい雪どけ水を、ヨケを通すことにより温めてから入れます。仲間の観察結果では2〜3℃違うようです。
 私のヨケは、ビオトープを兼ねているので、一般の農家のそれより巾も深さも2倍程あります。叔父から借りた小型バックホーで掘りました。早速、昨秋捕獲してあったタニシを放す予定です。

 驚きのハプニングがありました。田に水を入れる準備ができたので、勇んで用水路から水を取り込みました。数年使ってなかった田なので、浸透水も多く時間がかかるだろうと予想してヨケに溜まっていく水を見守っていましたが、半日経っても僅かしか溜まらず、しかも突然無くなってしまいました。
 何事かと驚いて調べてみると、地下水を抜く為の暗渠排水の止水キャップが無くなっていたのです。そこから水がどんどん流れ出ていました.水が溜まらなければ田んぼになりません。

 キャップは土地改良区の友人から分けてもらい修理することができ、スムーズに水を入れることができてほっとしました。

 他所の小さな2枚の方は、SRI農法(乳苗を植え、水を溜めない農法)ですが、やはり数年作ってなかったので、田面が荒れていましたが、外注で田ぶちが済んだところです。水を溜めないから止水は考えなくも良いのではと当初思いましたが、考えてみると、水が溜まらないと代掻きができません。
 思案した結果、一番安上がりな方法である畦シートで止水することにしました。ありがたいことに、隣の耕作者がトラクラーで溝を掘ってくれるというので助かります。明日決行です。皆さん、とても親切です。これが農村の良いところ、農家の人の良さです。

 乳苗のための籾蒔きは、子供の日に次男一家に手伝ってもらい無事済ませました。下記Youtubeをご覧ください。思案の後がご理解頂けると思います。

 早く食べたい野菜の苗も買い定植しています。自分でトマト、茄子、キュウリなど10種類ほど。種蒔きした苗を待ちきれないので、最小限のものを購入しました。今年は育苗用の温室整備をしなかったので、遅れてしまったのです。

ーーーーー田植え助っ人募集しています!(再掲)

 今のところ、お申し込みはゼロです。
 手植えですが、労働も心配する程のこともありませんし、楽しいですよ!
 お手伝いして、かつ楽しんで下さい。

 ◎SRI農法による乳苗の田植えが先になります。
  5月18日(日)。田植え面積は約800m2。
  ペーパーポットで育てた乳苗を手植えします。
  募集人数は3名以上です。

 ◎不耕起栽培の田植えは6月1日(日)
  面積は約1200m2。やはり3名以上。
  昨年と同じ「手一本植33」移植法でやります。手植えです。


 募集条件は,朝9時から夕方5時まで
 昼食はバーベキューを召し上がって頂き,
 秋にはこの田んぼから収穫した無農薬のお米5kgを送らせて頂きます。
 田植え用長グツと着替えを用意してきてください。

 昨年は小学生も参加して下さいました。
 6月1日の方に、私の次男一家が参加します。(小六男子と小二女子含)

 お申し込みは、このメルマガの返信で結構ですから,〒,住所,お名前,性別,年齢,ケイタイを書いてお送り下さい。
 尚、事故・怪我等についてですが、機械は一切使用致しませんので、交通も作業も全て自己責任でお願い申し上げます。

 更に、4人まででしたらお泊まり頂くことも可能です。詳細はお打合せの上。

 ご家族で来られて、小さなお子さんとお母さんは遊びながら見学というのもOKです。バーベキューも一緒に召し上がって下さい。

ーーーーーご紹介:「日本の農業の発展と活性化を期する」

 ブログの関係でご縁を頂いた弁護士高井伸夫先生と昨年から情報交換をさせていただくようになりました。
 高井先生は東大法学部卒の弁護士さんで、法曹団体の重鎮であり、上海と北京に事務所を持って、国際的に活躍なさっておられる方です。(この項の下段にURLを添付しました。)更に、農村と農業のことに大きな関心を持っておられて、去る3月には蓼科までお出かけいただき、意見交換をさせて頂きました。

 高井先生は「ザ・フナイ」に連載記事を書かれており、5月号に次のようなテーマの記事が載りました。私のところへ来て下さったのはその取材でした。

『弁護士のまなざし~老兵からの提言 〈日本の農業の発展と活性化を期する〉』

 この記事の中に私の意見を採り上げて頂いたこともあり、何よりも農村・農業のことなので、この記事についてご紹介します。

 記事はまず、江戸時代にさかのぼり、トロイア遺跡の発掘で有名な考古学者 ハインリッヒ・シュリーマン(1822年‐1890年)の「シュリーマン旅行記 清国・日本」や、アメリカの農学博士が書かれた本「近代日本の農村的起源」(トマス C. スミス著/大塚久雄訳/岩波書店)から驚きの史実を引用なさっています。
 本当は、驚いているのが恥ずかしい内容です。不勉強を恥じるのみです。

 「近代日本の農村的起源」は目を通しました。というのは非常に専門的学術的な記述が多く、理解しきれなかったので、概要を知ることに留めました。ですが、概要だけでも充分すぎる内容で、且つ今まで学ばなかったことを恥ずかしくさえ感じました。
 我々の日々の生活や自治活動の中で、当然のように行っている思考と行動様式がどのように生まれ定型化してきたかが書かれていました。

 特に記憶に残ったことは、家という概念や根回しや全員一致を基本とする村寄合(むらよりあい)というシステムなどです。農耕技術の進歩と様々な社会システムと統治機構が相互に影響しながら、国全体が変遷・進化してきたことが読み取れます。

 高井先生は、この本について次のように書いておられます。
「私ははっとした。そこには、江戸時代の農業の変化は市場の成長にあると喝破したスミス博士の言葉があったのだ。」
 蓼科便り337号に、「江戸時代に大阪の米相場では先物取り引きが行われていた。」ことを書いたことがありましたが、見事に符合します。

 更に次のような引用もあります。
『1697年には「純粋に学問的な論考で、日本で生まれたそうした学問的論考のもっとも早いものの一つである」とされる『農業全書』(元福岡藩士・宮崎安貞著/序文は貝原益軒)が出され、農耕に大きな影響を与えたという。同書は「よい農耕は儲かるということ以外、なんらの倫理観にも左右されぬもの」であり、以後、多くの農書が出されたという。』

 「シュリーマン旅行記 清国・日本」については、図書館から借りた文庫本が手元にあり、まだ読んでませんが、目次を読んだだけでワクワクしてきます。
 高井先生が次のような引用をしています。
『江戸時代末期、1865年(慶応元年)6月上旬に訪れた日本の印象を、「この国には平和、行き渡った満足感、豊かさ、完璧な秩序、そして世界のどの国にもましてよく耕された土地がみられる」と書き、絶賛している。』
 この手の記述は「逝きし世の面影」(渡辺 京二著)にもたくさん出てきます。

 ここに高井先生の書かれた記事の全てをご紹介することはできませんが、要は表題の通りで、JAと農水省を解体し、産業として自由な「市場の育成と活性化を期そう」とお考えだと思います。

 私の意見としては、農業と農家を分けて考えることを提言し、新たな農業の形として画期的なグリーンツーリズムを展開・進化させている信州せいしゅん村をご紹介し、農家の役割は環境保全と情操教育が大きいことを強調させて頂きました。
 これらをお採り上げ頂いたことに感謝申し上げております。

 高井先生の農業に対する基本の考え方は次の通りです。
 「私たちの生命の根本を支えるのは「食」であり、「食」を支える大きな柱は農業である。つまり、「食」と「農」は国家存立の根幹なのである。」

 ご興味のある方は「ザ・フナイ 2014.5vol.80」をお開きください。

ーーーーー「農業をしない農家」が多い日本

 これは本当です。皆さん、下段URL(ドア日新聞)を読んで考えてみて下さい。根本的に日本の農政はおかしいです。
 農業とは何か、農業者とは誰のことか、その定義が食糧・農業・農村基本法(以前の農業基本法)にありません。そこが定められないので、常識では考えられない表題のようなことが起きてしまうのです。「商業をしてない商店」なんて考えられるでしょうか。
 不思議なことに、農水省では「農業をしていない農家」という概念があるのです。
 安倍さんの第三の矢も、ここに踏込まない限り失敗すると思います。

 ドア日新聞の一部を抜粋します。
<多くの国民は“兼業農家は農業だけでは食べていけないから仕方なく兼業している”と誤解しています。コメ作については機械化が進み、労働時間(10アールあたり)は26時間です。本職がサラリーマンで週末にしか田んぼに来なくても問題なくできる。>

(私)そもそも、年間26時間しか携わらず、売上ゼロの仕事が何故「業」なのでしょうか?それを「業」として認める法律が何故あるのでしょうか。こんな考え方と法律の元で農業を良くしようとしても不可能だとしか思えません。
 安倍さんも農水省もJAも本気で農業のことを考えているとは到底考えられません。

http://ck.mailmag.livedoor.com/ck/2014000845e743ddb7e821c6d7/

 この記事の最期に次のようにあります。
<主業農家を戸数で凌駕する零細農家は農協とガッチリ結びついて構造改革に抵抗する。彼らは水田ならぬ「票田」となり、自民党政権の基盤を支える。見返りに自民党は減反や補助金という旨みを農協と零細農家に与え、予算獲得に執念を燃やす農水省にも力を貸す。
 この「農政トライアングル」を壊すことは強い農業を育てる必須条件になる。>


(私)ですが、これには異論があります。上記文章では「零細農家」が首謀者になっていますが、私の現状理解では首謀者は農協で、自民党と農水省は共犯者ではないかと思えます。零細・兼業農家は飴をもらって利用されていると解釈する方が正しいのではないでしょうか。

ーーーーー何故、原発なしでもドイツ経済は強いのか?

 私は表題のことがず〜と気になっていました。インターネットで「何故ドイツ経済は強いのか」で検索してみましたら、ありました。何でもありですね!

 日経ビジネスの記事から抜粋しました。
<・ ドイツは2009年、リーマンショック後の世界同時不況に直撃され、マイナス5.1%という戦後最悪の景気後退を体験した。しかし2010年には3.7%成長を達成して、不況の後遺症から急速に立ち直った。2011年の成長率は3%で、EU主要国の中で最高の水準である。

・日本の8割の労働時間で、3%多いGDPを稼ぎ出す。ドイツには「隠れたチャンピオン」と呼ばれる企業がある。消費者には名前が知られていないが、特定のニッチ分野で世界の市場シェアの60~70%を占める中規模企業だ。彼らの技術力が高い人件費を補っている。>


(私)原発がないと電力コストが上がり、企業競争力が落ち日本経済に打撃を与えると思わされていますが、本当にそうでしょうか?私は、原発即時廃止派ではありませんが、少なくとも上記の抜粋記事を読む限りでは自民党政権の主張は嘘に思えてきます。

 別件ですが、これも深い疑問です。ドイツは陸軍、海軍、空軍を持ち、世界の数カ国に派兵もしています。数十回憲法も変えてます。
 もちろん、戦争をしたい訳ではありませんが、同じ敗戦国でありながら、何故、日本とこんなに違うのでしょうか?もしかしたら、極東軍事裁判には人種差別があったのではないでしょうか。ドイツ人は白人ですから。

 詳細は下記URLからお読みください。

「ドイツ経済はなぜ絶好調なのか」(日経ビジネスオンライン2014.5.6)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20120319/230010/

「ドイツ経済はなぜ蘇ったか」(みずほ総合研究所2014.2.27)
http://www.mizuho-ri.co.jp/publication/research/pdf/insight/eu140227.pdf

フッターーーーーーー

田舎暮らしコミュニティ・中山道 芦田宿:企画書
http://shinshumachidukuri.blogspot.jp/2014/03/blog-post.html

無農薬玄(白)米の販売
http://daylanbo.blogspot.jp/2013/11/blog-post.html

籾殻燻炭の販売
http://daylanbo.blogspot.jp/2012/02/blog-post.html

農楽のすすめ!
http://tateshinadayori2.blogspot.jp/2011/08/blog-post_26.html

”田舎暮らし”動画がYoutubeに300本以上
http://jp.youtube.com/user/takasukey

メルマガ「蓼科便り」のアーカイブス
http://tateshinadayori2.blogspot.com/
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