2015年7月4日土曜日

蓼科だより・400号〜田舎暮らし情報

★ーーーーーーーーーーーーーーーーー2015年6月20日(土)★
★テーマ:400号に感謝、田んぼと畑、農協はどこへ、
     悲劇だった沖縄戦
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 この便りも、ついに400号になってしまいました。
 創刊は2005年12月13日でした。今から10年前です。会社の経営が苦境に喘いでいた時でした。今思えば、よくそんな時期に、文章を書くという面倒なことを始めたなと思いますが、自分の思いをおつき合い頂いていた皆さんに伝えたいという気持ちでした。
 その思いとは、田舎の素晴らしさとコミュニティの大切さを都市部に人々に伝えたいということです。

 創刊2年後には自らの責任で社長を引責辞任するという非常に申し訳ない事態を招いてしまいましたが、その時も私にはこのメルマガを止めるとという選択肢はありませんでした。

 それは、平成元年に三矢工業の社長に就任した時に、”まちづくり”は私のライフワークであると決めていて、ライフワークですから、どのような立場になろうと貧乏であろうと変更はありえません。
 ただ、妻や息子達からは、非常に我侭で贅沢なことをしていると言われてしまいますので、極力金銭的な迷惑をかけないようにと私なりの努力をしています。辛うじて許されているようです。

 私が農楽(説明は下記URLに)をしているのは、自分はもちろん、子供たち家族の食の安全を守りたいということと、田舎の本質は農業にあるという信念があり、この理解を深めることがより良いコミュニティづくりにつながると思っているからです。そして楽しいし、健康に良いことも間違いありません。

「農楽のすすめ!」

 今春、私のこの考えを証明してくれることが起こりました。
 「求めよ、されば与えられん」という言葉が好きですが、今年は『スマート・テロワール』(松尾雅彦著学芸出版社)という新しい概念に巡り会うことができました。初めて「サステイナブル・コミュニティ」(川村健一、小門裕幸共著学芸出版社)を読んだ時と同じ、ショックの新世界発見でした。

 「ショックの」中身は二つです。一つは未知の考え方であったこと。もう一つは、日本では一般化されていない考え方ですが、この二つとも先進国ではスタンダードであることです。教育には力を入れている筈の日本で、何故、私達はこのことを知らされていないのだろうかというショックです。
 しかし、「スマート・テロワール」との出会いは新しい未来を開く気がします。灯が見えた思いです。

 400号の話しがすっかり脱線してしまいましたが、300号に次のようなことを書きましたが、今も変わりません。今後とも宜しくお願い申し上げます。

< 私は自分の考えが絶対正しいなどと考えて書いてはいません。何故なら不勉強な凡人であり,いろんな問題を自ら検証する手だてもお金もヒマも無いことを良く承知しているからです。
 良いも悪いもなく,正も誤もなく,有りのまま,庶民としての検体の一つとして,思いのままを書かせてもらっています。

 私が一番欲しいのは,皆様からのお叱りとご意見です。
 実はたくさん頂いております。
 その皆様に心より感謝と御礼を申し上げます。
 私は欲が深いのです。もっと頂きたいのです。
 どうか宜しくお願い申し上げます。       >
ーー
 全ての田圃をチェーン除草を2度づつやりましたが、4枚の田んぼの内、1枚だけが草対策がうまく行きません。チェーン除草のタイミングのこともありますが、他にも原因があることが明らかです。
 水草の出易い田んぼと出にくい田んぼがあります。全く同じ管理をしているのに、片方には草がほとんど無く、片方は草だらけになるからです。管理手法だけの問題でないことは明白です。そこで、これから両方の田んぼの土の土壌分析をやってもらおうと考えています。
 しかも、昨年草の出なかった田んぼの収量は一番多かったのです。

 稲の生育は、計画通り黄色い緑です。「ヘの字稲作」という理論があります。簡単に言うと、元肥ゼロで追肥で勝負するという考え方です。その理論でいくと、今の緑は薄い方が良いのです。私はまだ充分理解し切っていませんが、これでやっています。
ーー
 豆の苗がよく育ち、4日ほど前から雨の合間を狙って定植を続けています。黒小豆、岩手緑豆、しなの黒豆をそれぞれ400本位づつです。毎日のように降る雨で活着は良いようです。
 コカブ、春菊、レタスなども順調に収穫しています。
 ラズベリーイチゴが採れだしました。完熟で採るのですばらしい味です。毎朝、野菜ジュースに入れます。孫にも届けます。今年から実がなりだしたスグリの初収穫ができ、リキュールを仕込みました。土手にあるグミも素晴らしい味で、生食と、やはりリキュールにしました。あれやこれやと忙しい毎日です。

ーーー農協はどこに行くのでしょう?

 JA佐久浅間の機関誌JAHOOの6月号が届きました。5月の総会で新組合長と常勤役員が決まったと報告が書かれていましたが、決まりきった挨拶文があるだけで、「自主的な改革が尊重されるべき」と書かれているものの、中身は過去の延長でしかありません。
 あとはいつもの通り、家庭菜園とお料理と福祉と郷土の祭の記事だけで、農業の記事は一切ありません。

 ついでに、JA長野中央会のホームページを見てびっくりです。
 何とホームページトップの写真が、田んぼで苗を補植している写真でした。補植とは、機械植えで機械が植え損なった部分を手で植えることです。専業農家ではやらないことです。つまり、農業の写真ではなく、零細な兼業農家の写真です。現農協の実態がこの写真から丸見えです。麦わら帽子に鍬ガラの姿を連想してしまいます。
http://www.iijan.or.jp/chuoukai/
 5月末に、「佐久浅間農業恊働組合事業改革について」という資料が届きました。1現状と課題から項目を拾ってみましたが、読むだけで気持ちが落ち込んでいきます。

・農業生産額が減少し、それに伴い事業収益も減少しています。
・管内の農業生産力が脆弱化しています。
・利益の減少に対応した人件費削減は限界にきています。
・熟練した職員が急激に減少します。
JA佐久浅間の労働効率は県下最低です。
JA組織の効率化による内部管理体制の強化が求められています。
・現状を踏まえたJA事業領域の見直しが必要


2組合員の意識調査の結果は、不満のオンパレード。
3改革の基本方針と概要では;
方向性として、JA事業の核を「農作物を作る」領域とし、効率化・合理化に取組みます。
・営農指導体制の充実をします。
・農業関連事業の広域化と効率化を図ります。共選所、野菜予冷庫、ライスセンター等。

(私)何とお気の毒な現状と改革案でしょう。ここから見えてくるのは過去の延長でしかなく、JA組織のさらなる統合と人員整理による縮小均衡の促進だけです。これを改革といえるでしょうか。

 一番肝心なことがすっぽり抜け落ちていると思います。農業の実態に対する視点がないことです。農業あっての農協の筈なのに、農業そのものが全く論じられないのは不思議でなりません。

 組合員の99%が兼業(会社勤めが主)である、つまり農業ではない(ただの農家)という実態が、農協から農業を見えなくしてしまったとしか思えません。「JAHOO」に農業の記事がないのも当然です。もしかしたら、農水省もそうなっているのでしょうか。ふと、気になりました。

 諦め切っちゃっているのでしょうか。農業の縮小に併せて、農協も縮小して行くしかないと!

 ですが、ちょっと待って下さい。「スマート・テロワール」の松尾雅彦氏は、自給圏の構築には農協の機能を生かすべきと仰っています。農協は、原点に帰って、農業とは何かを、根本から考え直すべきだと思います。その答えが「スマート・テロワール(「美しく強靭な農村自給圏」)」だと思います。

ーーー悲惨だった沖縄戦

 去る木曜日のクローズアップ現代で、「シリーズ戦後70年礎(いしじ)に刻まれた沖縄戦」をやっていました。副題は「激しい地上戦の悲劇」。住民を巻込んだ玉砕覚悟の戦闘の悲惨さは想像を絶します。「沖縄戦」はWikipediaに詳しく載っています。ごく一部を引用します。

<・・・沖縄戦(おきなわせん、沖縄の戦い)は、太平洋戦争(大東亜戦争)末期の1945年(昭和20年)、沖縄諸島に上陸したアメリカ軍を主体とする連合国軍と日本軍との間で行われた戦いである。連合軍側の作戦名はアイスバーグ作戦・・・
・・・沖縄での両軍及び民間人を合わせた地上戦中の戦没者は20万人とされる。その内訳は、沖縄県生活福祉部援護課の19763月発表によると、日本側の死者・行方不明者は188,136人で、沖縄県外出身の正規兵が65,908人、沖縄出身者が122,228人、そのうち94,000人が民間人である。

日本側の負傷者数は不明。アメリカ軍側の死者・行方不明者は14,006人、イギリス軍の死者が82人で、アメリカ軍の負傷者72,012人であった・・・>
(私)この種の報道は毎年繰り返されます。忘れない為に必要だと思います。ただ、報道内容が視聴者に対して正しい認識を与えることが目的であるならば、疑問を感じます。
 悲惨な戦い、砲弾の嵐、住民の犠牲、等々悲劇の言葉が次々と語られます。その通りだったと思います。ただ、私が疑問を感じるのは、戦争のこと、沖縄戦のことが客観的に捉えられていないことです。

 全ての物事は客観的に相対的に捉えられてこそ意味を持つと思います。主観の中に埋没することは大きな間違いを生むと思うからです。

 第二次世界大戦におけるヨーロッパの悲劇は、原爆こそ落とされませんでしたが、沖縄戦を凌駕します。日本では国内戦はごく一部でしたが、ヨーロッパでは生活の場が戦場であり、全部国内戦でした。第一次大戦もそうです。第一次と第二次が戦われたのはたった30年の間です。

 「ヨーロッパの歴史ー欧州共通教科書(木村尚三郎監修)」という、A4版カラー刷りの立派な翻訳本があります。日本全国の図書館にあると思います。これは。第二次大戦後、ヨーロッパの10ヶ国以上の歴史学者が集まって書いたヨーロッパ共通の歴史教科書です。

 その中に次のようなことが書かれていて、私は読んだ時本当に驚きました。戦争の犠牲者ですが、第一次大戦の犠牲者は約1,500万人、第二次大戦では約5,500万人から6,500万人(ユダヤ人虐殺500万人を含む)とありました。この大きさに驚いたのです。
 第二次の犠牲者の数に1,000万人の差がありますが、これだけの数が判らないということは、如何に酷い状況であったかということではないでしょうか。沖縄戦でも不明者のことが言われていましたが、数は比較にならないほど小さいです。
 たった30年の間に、7,000万人から8,000万人の人が犠牲になったのです。太平洋戦争における日本の犠牲者は、政府の公式発表によると約320万人(兵隊、民間人、原爆等全て)です。


 悲劇は数で計るものではないとは思いますが、ヨーロッパでは日本の約22倍~25倍に犠牲者出しています。それも全て国内ですから、全てが沖縄戦の状況の中で犠牲になったのです。
 ヨーロッパが国家統合を進める理由が良く理解できます。「二度とこんな悲惨な戦争はしたくない。国(境)があるから戦争が起きる。国境を無くそう。」と考えたのだと聞きました。

 このような客観的な事実を知っていて沖縄戦を語るのと、知らないで語るのとでは、大きな認識の差を生むのではないでしょうか。悲惨でない戦争なんてないと思います。

 日本だけが、沖縄だけが、特殊な犠牲を払ったと思わせたら歴史認識を間違わせると思います。慰安婦問題も同様な状況にあるように思います。特にNHKは公共放送です。その責任は重大です。

https://ja.wikipedia.org/wiki/沖縄戦

フッターーーーーーーーーーー


農楽しながら「”田舎暮らし”コミュニティ」を創る
(月刊『ザ・フナイ』より)
http://shinshumachidukuri.blogspot.jp/2014/11/blog-post.html

団塊世代の地方移住が日本を救う
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無農薬玄(白)米の販売
http://daylanbo.blogspot.jp/2013/11/blog-post.html

籾殻燻炭の販売
http://daylanbo.blogspot.jp/2012/02/blog-post.html

農楽のすすめ!
http://tateshinadayori2.blogspot.jp/2011/08/blog-post_26.html

”田舎暮らし”動画がYoutubeに300本以上
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メルマガ「蓼科便り」のアーカイブス
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