2015年11月29日日曜日

蓼科だより・423号〜田舎暮らし情報

★ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー2015年11月28日(土)★
★テーマ:浅間連峰の雪、こだまホールのN響弦楽、腐る経済、
     君たちに憎しみはあげない、磊庵、下條村
★蓼科便りは,重農主義を尊重し、地域自給圏構築をめざします!
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 今朝の浅間連峰は中腹から上が真っ白でした。札幌では40センチの雪とか。妻の従姉妹が札幌に嫁いでいるので気になるようです。昨日は庭で薄氷を踏み、冬の到来を実感。立科町の観光地女神湖から白樺湖にかけての道路では既に数回塩カル(凍結防止剤)撒きの出動があったとか。今まで温かすぎたので、急に冬がきた感じです。

 昨日、タイミングよく根菜類と観葉植物の温室の整備が終り収納もできました。父が盆栽の温室にしていた半地下の細長く狭い部屋ですが重宝しています。昨年の計測では室温が0度になってしまうので、壁に断熱材を張ってみました。最低を4℃位にキープしたいのです。
 収納したのは、大根3種類とヤーコンとネギ、そして金陵辺(日本蜜蜂捕獲用の和蘭)6鉢、鉢植えのバラ3鉢、君子蘭。ネギは湿気のありそうな位置に根を地面につけて置き、大根はビニール袋に入れました。これから春まで気を使うのは換気と観葉植物の水やりです。
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 11/22、上田市こだまホールにて、N響奏者による弦楽三重奏でモーツアルトの「ディベルティメントK.563」と、ピアノ五重奏曲シューベルトの「鱒」を聞く機会がありました。両曲とも生演奏で聞くのは初めてでした。
 K563は、たくさんあるモーツァルトのディベルティメントの中でもっとも人気のある曲のひとつだそうですが、華麗なバロックの雰囲気を堪能させてくれました。鱒は馴染みな曲なのでゆったりと楽しめ、最もポピュラーな第4楽章をリクエストでも演奏してくれたので熱い拍手を送りました。

 30代から40代の奏者ですばらしかったです。私にしては高めの料金でしたが、東京で聞けば倍は取られるだろうなと連れていってくれた友人と話しました。先月のイ・ムジチといい、この音楽好きの友人のおかげで、世界でも一流と評される演奏を聴くことができてラッキーでした。
 こだまホールは木造りのこじんまりした温もりのあるホールなので、室内楽やソロ演奏を聞くには最適です。

 因にディベルティメントの意味が判らなかったので調べました。
< 18世紀中頃に現れた器楽組曲である。明るく軽妙で楽しく、深刻さや暗い雰囲気は避けた曲風である。貴族の食卓・娯楽・社交・祝賀などの場で演奏され、楽器編成は特に指定はなく、三重奏、四重奏、弦楽合奏、管楽合奏、小規模のオーケストラなど様々である。また形式・楽章数ともに自由である。・・・>
ーーー田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」

 松尾さんに薦められて、「田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」」(渡邉格著講談社)という奇妙な名前の本を読みました。30才まで自分の人生を見つけられなかった学者の息子が、祖父の啓示を受けてパン作りに挑み、小麦と菌類と向き合う中で、自然界の生命力に気づき魅了され、天然酵母と天然麹菌によるパン作りを極める自伝小説。

 興味をそそるのが、修業時代に経験した幾つかのパン屋の劣悪な経営実態を、マルクスの資本論を通して考え、自分のパン屋を「腐る経済」という考え方で経営していることです。「腐る経済」とは、利益を求めない、蓄積しない経営を意味しているようです。労働者を搾取しない経営とも言えるかも。
 腐らない経済というのは、ピケティが指摘した資本家の経済、或いは市場主義経済を差しているようですが、正直言って、腐る経済とどこでどうやって線を引くのか判りません。

 私はマルクスの資本論を勉強したことがないので、おかげで資本論に触ることができました。ですが、著者が書いていることはきっと本質的な部分を扱っているだろうと勝手に想像しています。
 一見共産主義者ともとれますが、違うようです。下記の文章があるからです。
「封建主義から共産主義まで人類は今まで様々な社会システムを取り入れてきたが、資本主義が一番ましなシステムだと思う。欠陥もあるが、良い面もある。」

 資本主義の最大の特徴は資本家が生産手段を独占していること、それが生産手段を持たない労働者を搾取することになる。だから、生産手段を資本家からとりあげて国家が持てば搾取はなくなる。と考えたのが共産主義革命だということのようです。しかし、歴史的にはその試みは全て失敗に終り、未だにそれを証明できないままです。

 天然酵母と天然麹菌によるパン作りへの熱烈な取組みは感動ものです。有機栽培と自然栽培の違いも解き明かし、動物性蛋白の問題も提起しています。「ほたるの居る田んぼを創る会」の稲作りに通じるものがあります。自然耕塾@高山村で習った不耕起移植栽培の米が自然栽培の米と違うかどうか試してもらいたくなりました。

 何よりも大きく頷いたのは、生命力についての探求です。次のような記述があります。
<自然栽培で野菜を作っていた畑で、農業大学の研究者が土壌調査をした時のこと。最終的な結論は、「この土では養分が足りていないので作物はできる筈がない」というものでした。
目の前で人参や大根が実りをもたらしているというのに。そのギャップが埋められずじまい。科学の目だけでみたら不思議なことかもしれないが、そのギャップにあるものこそが生命力というものではないかと思う。>

 生きている土、つまり生命力を持った土が答えだと思うのです。私は論理的に説明はできませんし、実践もしていませんが、これを信じます。たぶん、不耕起仲間のMさんなら説明してくれると思います。
 思想的には釈然としないところがありますが、ともかくすばらしい取組みで、すばらしい奥さんと子供たちで、すばらしい経営をしていることは間違いありません。私はエコールという上田地区の図書館ネットワークからお借りしましたがお薦めの本です。

ーーー 「君たちに憎しみはあげない」

 またまた安中さんが注目すべきコメントを下さいました。

<・・・戊辰戦争の私のコメントを掲載いただき、ありがとうございます。
子供の頃、祖父から「薩長のやつばらと口を聞いてはいかんぞ」と言われました。私の先祖は、故郷の村松堀藩に使えていたそうです。きっと、祖父は、祖父の父から官軍に蹂躙された話を聞かされ、薩長に対する恨みを抱いたのだと思います。

ところが、その孫である私には、その恨みが理解できずに、鹿児島や山口の人とも付き合っています。きっと、34代経れば、恨みは引き継げないのですね。弊社の中国人の社員(28歳です)も、反日意識はゼロですし、甥の一人は韓国人の嫁さんをもらいました。だから、今の中韓の若者の多くには、反日意識などもう無いのです。
彼らの話を聞く限りですが、むしろ親日のほうが多いような気がします。

タイムカプセルの話は笑いました。過去のことなど、ほじくり返さないほうがよいということですね。・・・>


(安江)「過去は全て正しい」と言った船井幸雄さんの言葉を思い出します。「正しい」という言葉を「仕方なかった」と意訳するとスゴく判りやすくなるように思います.船井さんは、若い頃幼い子どもと奥さんを亡くしていますが、それでもそう言ったのです。戊辰戦争も日中戦争も太平洋戦争も喧嘩両成敗ではないでしょうか。

 過去を否定すると,復讐につながるのでは。肯定するということは、お互いの立場を理解することで、双方にやむを得ない事情があったことが理解できれば復讐は起こらないでしょう。それを形にしたのが条約だと思います。

 そういう意味でも勝者の復讐裁判とも言える極東軍事裁判は間違っています。しかし、それでも日本は、極東軍事裁判と2発の原発は正しかった(仕方なかった)としました。日本はアメリカに勝っているのだと思います。まともなアメリカ人なら恥ずかしさを感じているのではないでしょうか。

 安中さんの中国人、韓国人の話も「過去は全て正しい」ということを無意識に理解しているのだと思います。

 最近のパリテロ事件の首謀者達に向かって、「君たちに憎しみはあげない」と言ったフランス人ジャーナリストの次の言葉も同じ解釈ができるように思います。

<「金曜の夜、最愛の人を奪われたが、君たちを憎むつもりはない」という書き出しで始まる文章は、妻の遺体と対面した直後に書いた。
「君たちの望み通りに怒りで応じることは、君たちと同じ無知に屈したことになる」と憎しみを否定。「君たちの負けだ。(略)幼い息子の幸せで自由な日常が君たちを辱めるだろう。彼の憎しみを勝ち取ることもないのだから」と、1歳半の息子と2人で普段通りに暮らし続けることを宣言している。>
 しかし、一方で、彼は空爆を拒否するのでしょうか。難しいですね。

ーーー栃木の方がそば処「磊庵」ヘ!!

  Oさん、ありがとうございます。嬉しいやら、驚くやら、ビックリです!さぞかし、そば屋のご主人も喜んでくれたことでしょう。そして、力強いエールをありがとうございます。

<栃木のOです。メールをいただき、昨日、時間があったので、佐久市のそば処「磊庵はぎわら」へ早速出かけ、おいしいお蕎麦を賞味してきました。

栃木からは200キロ強かかり、到着した14時でも店はいっぱいで、名物「水萌えそば」はソールドアウトでしたが、大変おいしい蕎麦をいただけました。そばの味もさることながら、お店の設えと窓から見える南アルプスの稜線が綺麗でしたね。

ついでに、佐久市内の成田山の界隈の街並みも視察してきました。ちょうど、一昨日の、上信越高速のヘリコプター事故の片道制限で、大渋滞している様を、下り方面から確認していたので帰りは3連休最終日の、旧軽井沢で時間つぶしして、帰宅しました。メルマガの情報いつもありがとうございました。

農業政策大転換時期にあって、安江さんのご奮闘、蔭ながら応援しています!>

ーーー日本の未来が見える村・長野県下條村

 下條村は、活性化モデル自治体として全国から視察団が訪れているということです。以前にテレビでも放映していた記憶がありますが、改めて調べてみました。日経ビジネスオンラインからです。

<・・・長野県南部、天竜川の畔に広がる下條村。出生率を向上させたことで全国的に知られる村である。国の合計特殊出生率は1.34。それに対して、下條村の出生率は200306年の平均で2.04人に上る。・・・この出生率は長野県下でも随一だ。さらに、村の人口4176人のうち014歳が710人を占める。人口比17%。この数字も県下一という。・・・・・・この村では中学3年生までは子供の医療費がかからない。さらに、この2年で村営保育園の保育料を20%値下げした。子供向けの書籍を中心に68000冊の蔵書がある村営図書館も村の中心部にある。・・・

・・・伊藤村長は職員に対して、民間企業の従業員がいかに厳しい環境で仕事をしているか、いかに君たちの仕事ぶりが非効率か。懇々と説諭した。・・・
それでも残りの3割は理解してくれない。またまた業を煮やした伊藤村長。実際に民間の仕事を体験させるため、職員を飯田市内のホームセンターの店頭に立たせた。・・・
・・・その結果、村長就任時に比べて、職員数は約半分の34人にまで減った。人口1000人当たりの職員数に直せば8.1人。これは、同規模の自治体に比べて半分以下の数値だ。・・・

日本の未来が見える村・長野県下條村、出生率「2.04」の必然
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20090209/185533/?P=1

フッターーーーーーーーーーーー

農村消滅論から大転換
http://shinshumachidukuri.blogspot.jp/2015/01/blog-post_17.html

「スマート・テロワール : 農村消滅論からの大転換」を読んで
http://shinshumachidukuri.blogspot.jp/2015/07/blog-post_9.html

農楽しながら「”田舎暮らし”コミュニティ」を創る
(月刊『ザ・フナイ』より)
http://shinshumachidukuri.blogspot.jp/2014/11/blog-post.html

無農薬玄(白)米の販売
http://daylanbo.blogspot.jp/2013/11/blog-post.html

農楽のすすめ!
http://tateshinadayori2.blogspot.jp/2011/08/blog-post_26.html

”田舎暮らし”動画がYoutubeに300本以上
http://jp.youtube.com/user/takasukey

メルマガ「蓼科便り」のアーカイブス
http://tateshinadayori2.blogspot.com/
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