2015年11月18日水曜日

蓼科だより・421号〜田舎暮らし情報

★ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー2015年11月14日(土)★
★テーマ:不耕起栽培、現代妖怪の正体、庄内の人々、耕作放棄地問題、
     杭不正問題の深層
★蓼科便りは,重農主義を尊重し、地域自給圏構築をめざします!
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 田んぼの収穫の片付けは全て終了し、来年の準備に入りました。このところNPOの仕事が増えてきたので助っ人をお願いしています。
 来年の準備というのは、藁を全量、コヌカを1反歩当り60kg、ミネラル(私の場合は籾殻120kg分の燻炭)を散布し、浅い耕運をします。散布しているのは、全て田んぼから収奪した分です。不耕起栽培の肥料理論は単純明快で、全てを元に戻すというものです。

 戻せないのは食べちゃった白米部分だけです。それを補ってくれるのが糸ミミズという訳です.その糸ミミズのために冬期堪水が必要なんですが、私の田んぼには冬期間は水路に水がないのでかけられません。
 本来の不耕起は耕運をしないのですが、ワラやその他の材料の浮き防止と分解の促進のために半不耕起にして浅く耕運します。そして、春の雪どけ水と雨水を待って、できるだけ早く満水にします。

 先週、高山村の自然耕塾で第6期生の卒業式があり、Mさんの講演もあったので参加しました。毎年20名程の卒業生が誕生します。驚いたことに生徒の中に20代の若い人が数人いたり、半分ほどは県外から来ていたことです。岐阜、静岡、新潟、群馬等です。

 私も「スマート・テロワール」の宣伝をさせてもらい、「希望のもてる農業と地方再生のための画期的な提言です。」と言ったら、持っていった「スマート・テロワール」と「里山資本主義」7冊づつがすぐ売れてしまいました。もっと持っていけばよかったと、残念なことをしました。

 お米の味のことですが、前回あまり良くないことを書きましたが、2番目に脱穀した田圃のお米の味はとても良かったです。やはりその田圃の土が良いのです。
 全体をして味の良いとことと良くないところと半々の感じなので、お客様用にはブレンドで出させていただくことにしました。ご了承ください。正直なところ、ブレンドしても味はほとんど変わりません。良いと思います。
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 今日、久しぶりに混声合唱団の演奏会を聞きました。東御市に本拠があるとうみ混声合唱団の定期演奏会でした。とてもすてきでした。つい最近、NPO信州まちづくり研究会に入会して頂いた方の奥さんがアルトをおやりになっていて、誘われたものです。会場は東御市のサンテラスホール。

 指揮をとったのは、県下唯一の小諸高校音楽科の発足に尽力された教諭高木房雄さんで、声楽出演者は東御市を中心とした近在の皆さんのようでした。会員の奥さんは我が立科町です。
 西洋音楽の発祥とされるグレゴリオ聖歌にはじまり、星野富弘さんのすてきな詩「花に寄せて」から7曲、そして、オペラ座の怪人とキャッツから名場面の曲が演奏されました。キャッツではセガワバレエアカデミーの小中学生ダンサーがとても可愛いバレーを見せてくれて大きな手拍子と拍手に沸いていました。

 手足の自由を失い口に筆を加えて絵と詩をお書きになる星野さんの展覧会を同じホールで見た記憶があったので、感慨ひとしおでした。人間の声は最高の楽器だと言いますが本当にそうですね。素敵な演奏会をありがとうございました。

ーーーこれが世界の富を食い潰す「現代妖怪」の正体だ!

 松尾さんから薦められて「新自由主義の自滅」(菊池英博著文春新書)を読みました。私には経済論説を批判できるような基礎知識はありませんが、日本政府やOECDの統計などを使って、近現代の日本と世界の恐慌や景気の変動を非常に判りやすく理解させてくれます。

 単純化して論評するなら、「新自由主義者の経済政策は間違っている。ケインズ経済学が正しい。世界先進各国の近現代経済史はそれを証明している。日本も即刻改めるべきである。」というものです。確かにデータと説明は一致していました。とても良い勉強になりました。
 これが本当に正しいかどうか私には判定できませんが、感想を述べるとすれば、この本で言ってることは正しいように思えます。但し、ケイジアンとしての見方なので、マルクス学派や新自由主義学派は全く違った解釈をするんでしょうね。

 私がこの種の論説を読んだ時にいつも不思議に思うことがあります。書かれている内容は全て公開されているデータであり、説明されれば無学な私でも判るのですから、世界の専門経済学者の皆さんがそれを知らない筈はないと思うのです。
 にも係らず、この論説からすれば明らかに間違いである新自由主義が、日本を含め主要先進国で行われるのには何か重大な訳がある筈と思うからです。何故でしょう。その訳を私は知りたいです。どなたかご教授願えないでしょうか。

ーーー庄内の人々の西郷隆盛への敬慕

 NPO法人信州まちづくり研究会が取組んでいる「スマート・テロワール」の実証先進地である山形の話なので注目しました。国際派日本人養成講座からです。

< 世の中には不思議な付き合いがあるものだ。西郷隆盛と庄内藩(現在の山形県庄内地方)の人々との交流である。明治元(1868)年の戊辰(ぼしん)戦争では、庄内藩は西郷隆盛率いる明治政府軍に降伏したのだが、西郷の高潔な態度に感激し、その後、藩主自ら70余名の藩士を率いて、薩摩に赴き、西郷に親しく教えを請う。

 西郷は明治10(1878)年の西南の役で戦没し、「逆賊(天皇への反逆者)」の汚名を着せられるが、明治22(1889)年、明治天皇が正三位を与えて汚名を晴らすや、旧庄内藩の人々は西郷の語った言葉をまとめた『南洲翁遺訓』を刊行し、風呂敷包みに背負って、全国に配布して回った。

 庄内の人びとの西郷への敬慕は現代まで続いており、昭和51(1976)年には南洲神社が創設され、「財団法人 庄内南洲会」が西郷の人徳を称える活動を続けている。・・・続く>


http://blog.jog-net.jp/201511/article_2.html

(私)戊辰戦争は、一方において、長州が会津で残虐非道なことをしたという歴史があります。ひとつの出来事でも見る場所により、相手により、架けてる眼鏡により、その内容は全く違ったものになります。恐らく、太平洋戦争における日本軍のことも同様だと思います。

 生きるか死ぬかの極限状態の中では、狂気が起きても、何が起こっても不思議はありません。だからこそ、そのような状況の中で残されたものは本質であり、永遠に人々を突き動かすのでしょうか。

ーーー耕作放棄地の課税1.8倍に 移転促し農地集約

 耕作放棄地を無くすための政策だということです。日経ニュースメールからです。

<・・・農林水産・総務の両省は農地向けの税制優遇を見直す。耕作放棄地の固定資産税を1.8倍に引き上げ、税負担を重くする検討に入った。税金の安さから放棄地のままで所有する持ち主が多く、やる気のある農家に農地が渡らない現状を改善する。

一方で、農地中間管理機構(農地バンク)に貸した農地の固定資産税の軽減も検討する。環太平洋経済連携協定(TPP)の発効をにらみ、農地の集約で農業の国際競争力を高める。・・・>


http://mxt.nikkei.com/?4_41706_1351907_1

(私)かつて、作らなければ金を出すという減反政策がありましたが、それと同じ後ろ向きの政策だと思います。耕作放棄せざるを得ないような、農村から希望を奪った政策をやったのは誰なんでしょう。作れないようにしむけておいて、手放せと言っているのと同じです。嫌がらせをして追い立てをする闇の組織がやる手口と同じではないでしょうか。

 そもそも、地方の中山間地へくれば、貸したくても、ただで良いからと言っても借り手がいない農地がたくさんあります。しかも、この半世紀に税金を投入して作った農地です。このような農地は、この法律ができても動くことはないでしょう。いったい、どうしろというのでしょう。
 但し、平野部の優良農地にこの法律を適用するのは理にかなっているように思います。全てのことにTPOは必要です。

 嫌がらせをするのではなく、何故農地を生かそうとしないのでしょう。答えは『スマート・テロワール-農村消滅論からの大転換-』(松尾雅彦著学芸出版社)に書かれています。

ーーーあまりにも鈍感な建設産業
 HAL通信のメルマガからです。ハルシステム設計は福島第一原発にも関わった建設コンサルタントです。ここに書いてある通りだと思います。重大社会問題なので、長いですが引用させて頂きました。
<1
ヶ月前の本メルマガで、私は「国民の不信感の強さに鈍感な建設産業」というタイトルで、国民の不信の目に対する業界の鈍感さを指摘しました。その後すぐに、横浜のマンションでの杭工事の不正が発覚したわけです。予言をしたわけではありません。
私は、40年間、様々な立場から建設の仕事をしてきました。しかし、業界の内側しか見ていない建設産業の姿に強く危機感を抱いていたが故の警告でした。

今回の問題でも、パークシティLaLa横浜のマンションが傾いているという指摘が寄せられたのは、昨年の11月です。それなのに、きちんとした調査もせずに苦情を無視し続けていたわけです。1年近く経ってようやく問題の存在を認めましたが、記者会見で旭化成建材の副社長が「傾いたのはこの1件だけ」と発言するなど、当事者の危機意識の欠如には耳を疑いました。

その後の報道で、杭の偽装は他県にも及び、「私もやった」と発言する施工者が現れたりと、底なしの様相を見せ始めています。1029日現在で偽装が明らかになった物件は全部で4件になっています。・・・

・・・設計や施工経験がお有りの方は、杭の不正がどれほど危険かはよく分かっていますが、同時に、そもそも、多くの建物は過剰気味に設計されているし、国の基準も必要以上に過大だと感じています。この2つの感情の狭間が本当の危険だと思うのです。

私も工期や金額が非常に厳しい物件の施工を担当したことがありますが、大きな問題に突き当たった時は、やはり焦ります。竣工に間に合わなくなる、工事が赤字に陥ってしまうというプレッシャーは相当なものです。実際にそうなれば、謝ったぐらいではすみません。

工期の遅れは、お客様から損害賠償を請求されるかもしれませんし、赤字になれば、自分の評価は地に落ちます。それでも平然としていられるような精神の持ち主など、ほぼ皆無でしょう。

技術の未熟さなど、現場監督自らが解決していかなければならない問題も多いですが、多くは施工会社の姿勢であり、リスク管理の問題なのです。もっと言えば、施主を含めた建設産業が抱えている構造的問題なのです。

姉歯問題から10年、産業界の体質が少しも変わっていないことを露呈した今回の問題。市場から突きつけられている不信の重さに対し、まだまだ建設産業界は鈍感だと思います。>


(私)最後に書かれている「施主を含めた建設産業が抱えている構造的問題なのです」が本当の指摘だと思います。何か問題が起こると、担当大臣の前で深々と頭をさげる民間組織の長の姿が度々テレビに映し出されますが、この構造がダメなのだと思います。お上と業者であり、施主はお上です。

 外国人がこのテレビに映し出される様子をみたら、日本の民主主義を疑うのではないでしょうか。民法にも契約書にも発注者と受注者は対等であると書かれていますが、東大マフィアとも言うべき日本の官僚機構では全く無視されているように思えてなりません。日本ではお神でもあります。ですから全て官製ではないでしょうか。

フッターーーーーーーーーーー

農村消滅論から大転換
http://shinshumachidukuri.blogspot.jp/2015/01/blog-post_17.html

「スマート・テロワール : 農村消滅論からの大転換」を読んで
http://shinshumachidukuri.blogspot.jp/2015/07/blog-post_9.html

農楽しながら「”田舎暮らし”コミュニティ」を創る
(月刊『ザ・フナイ』より)
http://shinshumachidukuri.blogspot.jp/2014/11/blog-post.html

無農薬玄(白)米の販売
http://daylanbo.blogspot.jp/2013/11/blog-post.html

農楽のすすめ!
http://tateshinadayori2.blogspot.jp/2011/08/blog-post_26.html

”田舎暮らし”動画がYoutubeに300本以上
http://jp.youtube.com/user/takasukey

メルマガ「蓼科便り」のアーカイブス
http://tateshinadayori2.blogspot.com/
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