2015年11月2日月曜日

蓼科だより・417号〜田舎暮らし情報

★ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー2015年10月17日(土)★
★テーマ:稲刈り、放棄農地、NPOの臨時総会、松尾さんのTPP論、
     HAL通信のアーカイブス
★蓼科便りは,重農主義を尊重し、地域自給圏構築をめざします!
★ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー★

 明日の予定をしていた稲刈りが今日の雨で又延期になってしまいました。3週続いて土曜の雨です。ハゼ掛けの天日干しの場合は、やはり乾いた稲を刈り取りたいで2日ほど待つことに決めました。

 この辺りの稲刈りの様子を見ると、やはりハゼ掛けが目立ちます。ということは、ほとんどが自家用米田ということです。量産しているのであれば、とてもこんな手のかかることはやっていられない筈です。
 コンバインで刈り取られているところは、大規模にやっている人か、年でできなくなってしまった人の田圃でしょう。8割くらいは刈取りが終っています。今年も私が一番最期になるかも・・・。
ーー
 私の家の周辺に広がる中山間地と呼ばれる、田圃が小さくて土手が高くて草刈りが大変な地域の深刻なお話をひとつ。
 そんな田圃を8枚ほど借りて稲作りをしていた専業農家が、昨年限りで耕作をやめ一括返済してしまいました。全部では10町歩(ヘクタール)以上やってる米づくり専業農家です。問題なのはその後借り手がいないことです。このような状況が地域全体にじわじわと広がっています。

 放置したらどうなるのか考えてみました。草が生い茂り、3年も経つと木が育ち始め、10年もすると林になり、20年もすると森になるでしょう。しかし、田圃は湿気るために良い木が育たないし、切り出そうにも土手が作業効率を落とします。まず使い物にならないと思います。
 どうしょうもない、手の付けられない荒廃森林になってしまうと思います。

 なぜ、こうなってしまったのか、責任はどこにあるのか、解決するにはどうするべきかを考えますが、この原因と責任をその地主個人に持っていくことには無理があるように思います。宅地の活用と違って、農地や森林の活用は、一個人の判断を越えた国家的・地域的制約に左右されるからです。

 今回のTPPなど良い例です。そう考えると国の農業政策に90%の責任があると言えると思います。しかし、過去を批判してもことは解決しませんし、ありがたいことに、この問題を解決する方法を提示してくださった方がいます。後述します。
ーー
 今年の一大事業だったペンキ塗りが終ったことを書き忘れていました。6月に始めて、終ったのは今月の6日でした。塗り終わって、少し離れた場所からピカピカに光る柿色の屋根を見た時、よくやった、と自分を誉めてやりました。
 アカシアの花が散る時期と農繁期と真夏は避けて、断続的にですが平均90分くらいで35日ほどかかりました。実は今の時期は落葉が降り始めたのでダメです。ですから良いタイミングで終りました。初挑戦でしたが、無理しないでやりましたので楽しい仕事でした。
 何よりも、ペンキ屋の見積りと照らしてみると、自分の時間給を2000円で計算しても3分の1ほどだったのが嬉しいです。その上、私は無給ですから、自分でやれば如何に安くできるかが判り驚いています。
 空いてる時間を活用して新しい何かをやる時は、手間の原価はゼロだよ、とは付加価値経営の基本だったことを思い出しました。松尾さんは農業の経営改善の話の中で、よくこのことを仰っいます。今やってる仕事の能率をあげて余暇を作り、その余暇で新規事業をはじめれば、その労務費はゼロになる、と。

ーーーNPO法人信州まちづくり研究会の臨時総会開催

 春の通常総会では具体的に提示できなかった新規事業計画ができたので、意思確認と体制づくりのために開きました。その事業名は「東信スマート・テロワール研究会を立ち上げる」です。
 「スマート・テロワール」(自給圏構想)の意味につきましては、以前にもご紹介しましたが、このメルマガのフッターに二つの紹介記事(農村消滅論から大転換、「スマート・テロワール : 農村消滅論からの大転換」を読んで)を添付していますのでお読み下さい。

 目的は、「スマート・テロワール」(自給圏構想)の考え方を東信地区の住民の皆さんに知ってもらい、実現に向かっての活動を推進するためです。
 なぜ、こんなことをするのか、何の得があるの、と疑問を持たれるでしょう。こういうことを考え始めた原因は、上述した放棄農地の拡大であり、明確な地域の衰退であり、消滅の危機です。私はこの現実を大勢の人に確認しましたが、皆異口同音に危機を訴えていました。しかし、対案はどなたにもありませんでした。

 どうしたら良いのか策が見つからず考え続けていた時、この課題を解く仮説が書かれた2つの著書を知りました。一つは昨秋発刊された「スマート・テロワール」(松尾雅彦著)で、他の一つはその30年前に発行された「発展する地域 衰退する地域」(ジェイン・ジェイコブズ著)です。

 今までに、当NPOで本「スマート・テロワール」を150冊ほど販売しました。多くの賛同者を得、20名ほど入会をしてくれました。NPOの会員達は、この考え方に則り、東信スマート・テロワール研究会を立ち上げる事業計画に賛同しました。これで、本格的にスタートすることになります。

 折しも、今週始め、先の阿部長野県知事とのランチミーティングで、知事が約束してくれたこの課題の担当者が決まりました。佐久地方事務所の職員です。来週、第一回の打合せをすることになりました。そして、佐久広域連合長柳田佐久市長も協力方法を検討して下さっています。

 私が言うのはおかしいのですが、それにしても、会員の皆さんはよく、このような雲を掴むような話のために遠くから来て下さるな、と感心しています。一円の得にもならない話です。お金に裕福な人はいませんが(失礼!)心の豊な人達ばかりです。

 「NPOは奉仕活動団体じゃいけないんだ」と会員の一人も言います。その通りです。しかし、ない袖はふれないし、お金にならななければやらないという会員もいないのが不思議です。
 一方で、今日決まった資金計画では、当NPOにしては大金の賛助会員(寄付)をお願いしなければなりません。このメルマガ紙面を使って読者の皆さんにお願いすることも考えております。ご迷惑な話ですが、その時は耳と懐を傾けて下さい。宜しくお願い申し上げます。

 去る15日、長野県知事に、パブリックコメントを募集していた「長野県人口定着・確かな暮らし実現総合戦略」について、提言書を提出しました。
 選択したテーマは、基本目標の③「地域の資源・人材を活かした産業構造を構築することにより、仕事と収入を確保します。」です。やはり「スマート・テロワール」の考えを軸に様々に展開しました。衰退からの脱却はこれしかないと考えています。
 この提言書は明日、下記ブログに掲載致します。県も後日公開することになっているようです。

ーーー松尾さんのTPP論

 安江さん、TPPの参加国を見てください。農村のないシンガポールと日本だけが食料輸入国です。他の国は「食料の輸出で生きている国」ばかりですから、手玉に取られています。また、工業国は見当たりません。工業製品の輸出を増やすためには犠牲者は避けられません。

 重商主義の定めです。自由貿易は、既に限界が出ています。EUの「共通農業政策」が参考になります。米国はそれに手を焼いているのです。産地認証制がEUの得意技です。米国には見るべき地域ブランドはありません。(米国ブランドはワインぐらいです)

 日本の主要食糧は、コメ以外自給率は15%そこら、輸入が85%ですから、輸入を1割増加すると自給率は15%は、6,5%に落ちますから、その低下を10年位に緩和措置を講じますが農業を破壊することには変わりはありません。
 彼らの計算(上から目線)では、農業分野は1,5%産業ですから、お金で片を付けるつもりか、大企業の農村進出を推進するのでしょう。スマート・テロワールは、1,5%を15兆円上積みし、23兆円にすれば5%の産業になります。
ーーーHAL通信のアーカイブスができました!

 安中さん、待ってました。おめでとうございます。
 皆さんも、早速開いて見てください。


フッターーーーーーーーーーー

農村消滅論から大転換
http://shinshumachidukuri.blogspot.jp/2015/01/blog-post_17.html

「スマート・テロワール : 農村消滅論からの大転換」を読んで
http://shinshumachidukuri.blogspot.jp/2015/07/blog-post_9.html

農楽しながら「”田舎暮らし”コミュニティ」を創る
(月刊『ザ・フナイ』より)
http://shinshumachidukuri.blogspot.jp/2014/11/blog-post.html

無農薬玄(白)米の販売
http://daylanbo.blogspot.jp/2013/11/blog-post.html

農楽のすすめ!
http://tateshinadayori2.blogspot.jp/2011/08/blog-post_26.html

”田舎暮らし”動画がYoutubeに300本以上
http://jp.youtube.com/user/takasukey

メルマガ「蓼科便り」のアーカイブス
http://tateshinadayori2.blogspot.com/
ーーーーーーーーーーーーーーー

0 件のコメント:

コメントを投稿