2016年3月24日木曜日

蓼科だより・434号〜田舎暮らし情報

★ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー2016年2月13日(土)★
★テーマ:豆の選別、文明論之概略、TPPのこと、

★蓼科便りは,重農主義を尊重し、地域自給圏構築をめざします!
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 今日でやっと豆の選別が終りました。最近LPを好んで聞いていますが、特に選別作業
の時は、無心になっているのでリラックスできて良いです。最近聞いたものは、喜多郎
の絲綢之路、スタンゲッツのボサノバ、オスカーピーターソントリオのジャズなど。

 年のせいでしょう、昔の名曲が良くて、30年以上も前のレコードを引っぱり出して
聞いています。何だか最近レコードブームなんだそうですね。妹のレストランにた
まに夫婦でカツ丼を食べにくる親戚の彼が言ってました。

 妻が腕を自慢する煮豆を毎日食べていますが、確かに美味しいです。小分けした4種
の豆を訪ねてくる友人へのお土産にしたり、遠くの親戚に送るのを楽しみにしています。

 手間賃がタダの農楽だからいいのですが、もし私の時間給を1000円に計算したとした
ら、そのコストは直売所価格の10倍くらいにはなることでしょう。でもいいのです。こ
れは喜んで食べてくれる人達の顔を思い浮かべながら、好きな曲を聞きながらやるコブ
(おまけ)の作業なのです。座禅のようなものかも・・(意味不明?)。

ーーー文明論之概略

 「スマート・テロワール」の松尾さんに薦められて福澤諭吉の齋藤孝の現代語訳によ
る「文明論之概略」を読んでいます。スゴイでしょう!
 当初、アマゾンで無造作に中古本を注文したら、何と旧仮名遣い、旧漢字の文庫本が
届いてしまい、読んでも意味がつながりません。仕方なく、現代語訳を注文し直しまし
た。おかげですらすらと読めます。ですが、読むのが遅いのでまだ3分の1です。

 若い頃、解説書のようなものを読んだだけだったので、ほとんど忘れているので新鮮
です。初版は明治8年とありますから、140年も前の文章です。福澤は昭和の不幸な歴
史も戦後の発展も知らない訳ですから時代背景は全く違います。

 福澤はペリーが浦賀に来た頃丁度20才位ですから、血気盛んな青年期に激動の日本の
ただ中で生きたことになります。維新前に、渡米、渡欧して欧米の文明に接し、強い衝
撃を受けたとあります。丁髷(ちょんまげ)と牛馬の世界から蒸気機関車を見た訳です
からその驚きようは想像を絶します。文明の格差の大きさに愕然としたと思います。
 大政奉還、廃藩置県の時、福澤は33才でした。

 しかし、読んでいてあまり時代のギャップを感じません。書かれている内容が、こと
の見方、考証の仕方、価値観等が主だからだと思います。むしろ、新鮮に思えることが
、今の我々が直面している問題を浮き彫りにしているような気がします。

 「異端妄説こそが世の中を進歩させる」という小見出しがあり、「最近の例を挙げれ
ば、わずか十年ばかり前に、日本では三百の諸候がそれぞれの政府を持ち、君臣や上下
の別をしっかり保った上で、藩主は人民の生殺与奪の権利を持っていた。」とあります。

 「文明には段階がある」というところには、「野蛮」、「半開」、「文明」という3
 段階があるとして、第二段階の部分に次のように書いてありました。

「農業が大いに盛んになって、衣食は足りている。家を建て、都市を作って外形として
は「国」だけれども、内実を見てみると不足しているものははなはだ多い。文学は盛ん
だが実学を学ぶ人は少ない。人間の交際については、猜疑心と嫉妬心が強いくせに、物
事の道理を議論する際には、疑いをもってわからないところについて聞きただすという
勇気を持たない。
真似は巧みだが、新しく物を作ることについての工夫には乏しい。旧来の物を学ぶこと
は知っているが、それを改めることは知らない。社会にルールがないわけではないが、
習慣の力が強くてルールとして機能していない。これを「半開」という。まだ文明に
達しているとは言えない」

 第三段階には次のように書いてあります。
「自然界の物事を法則としてとらえる一方で、その世界の中で、自らが積極的に活動し、
人間の気風としては活発で古い習慣にとらわれず、自分で自分を支配して他人の恩恵や
権威に頼らない。
自身で徳を修め、知性を発達させ、過去をむやみに持ちあげず現状にも満足しない。
小さなところで満足せず、将来の大きな成果を目指して、進むことはあっても退くこ
はなく、達成することがあってもそこに止まることはない。
学問は虚学ではなくさまざまな発見発明の基礎になっており、商工業は日に日に盛んに
なってますます幸福の源になっている。すでに智力を用いながらも、後世にさらなる発
達を期するところがある。これがいまの「文明」というものだ。」

 ここを読んだ時愕然としました。日本は文明国ではない、と明治の人から言われた
気がしました。福澤は当時の日本は第二段階にあり、第三段階を目指すのだ、と書いて
いますが、今の日本は果して第三段階にあるでしょうか。

 一体、明治維新から150年、我々は何をやってきたのでしょうか。戦前も戦後も体力だ
けはしっかり付けたが、その体力を何に使ったのでしょう。今の国会や地方議会、
土地改良区、部落集会を見て、何が進歩しているのでしょう。全て我々自身の結果です。
 体力を持てなかったなら仕方ありませんが、有り余る体力を持った、今でも持っている
にも関わらず、です。私は決して悲観論をとるものではありませんが、すごく寂しい
気持ちです。これが文明の文明たる由縁なのでしょうか。

 この少し後に次の記述があります。
「文明には外にあらわれる「事物」と、内側に存在する「精神」の2種類がある。事物の
文明は採用しやすいが、精神の文明は得ることが難しい。国を文明国にしようと思ったら
、難しいことを先にし、簡単なことは後回しにするのがよい。」 

 「作文道場」の書評から福澤の人物評について引用します。
「幕末から明治において日本の社会は劇的に変化している。そのような時代こそ日本の
現状分析ができ、日本の歩む道をわかりやすく提示できる神様みたいな人が必要だった
のである。
  福沢は数回の西洋への旅行を経験しており、日本がいかに西洋に遅れているかを痛
感していた。遅れるだけならまだいいが、福沢は日本が清やインドみたいに西洋に植
民地化されるのを極度に恐れた。福沢はとにかく、西洋と付き合いながら、日本の独立
を守ることを真剣に考えたのである。そのため、たくさんの啓蒙書を書いた。その1つ
が「文明論之概略」である。」

福澤諭吉 

 今日は、自分の過去も顧みず、ずいぶん気取っちゃいました。ですが、正直です。
 先を読むのが楽しみですが、今、NPOの仕事が遅れていて時間がありません。 
 皆さんも読み直してみて下さい。但し、「現代語訳」です。
 高校生の教科書にしたらどうでしょう。
 
ーーーTPPのこと

 いや〜難しいです。下段にURLを添付しましたが、TPPの協定書概要を見つけまし
た。ですが、腰を据えてじっくり読まないと判りません。専門用語も多いので、いち
いち調べなければ意味が通じません。なので、識者からのご意見に期待しています。

 前回ご紹介した農業技術通信社の記事に対しても反論があります。信条としてはこ
の人を信じたいというものがありますが、本当にそうか、と問われれば、悲しいかな
自分で勉強していませんから確信が持てないのです。

 近い内に地方事務所の農業関係部門と懸案について会合を持つことになっています
ので、その時に農業関係者を集めて説明会をやって欲しいと要望しようと考えてい
ます。

環太平洋パートナーシップ協定(TPP協定の概要

下の2つのURLは、反対派と賛成派の記事です。

TPPはアメリカの言いなり」の噓 浅川芳裕(農業ジャーナリスト)
http://shuchi.php.co.jp/voice/detail/2671?


TPPはアメリカの言いなりの噓」にある下記記述は、私には正しいように思えます。
< コメについて要約すれば、自由化は避けた(現在の国産米より高い㎏341円の高
関税を維持)。その見返りに、輸入枠は増やした(米豪から
56万t、13年目以降784万t)。その分、政府が買い上げる国産米の量を増やしていく。その結果、
コメの供給量は変わらないから、米価の下落を抑えられるはず。加えて、補助金を増
額するから安心してくれ、とのメッセージである。

 総理はTPPでコメを守ったというが、これでは日本の稲作産業は衰退まっしぐらだ。
今回のTPP交渉でコメと競合となる麦については、関税に相当するマークアップ(農水省が輸入時、徴収する差益)は45%から最大50%削減されることになる。つまり、麦の価格は下がっていく一方、コメの価格は高止まりをめざす、といっているのだ。よって、麦を使った食品開発はさらに進み、買いやすくなる一方、人為的にコメ離れが進んでいく。さらには、農水省は飼料米への補助金額を大幅に増額し、家畜用の作付面積を増やすことで人間が食べられるコメを減らし、隔離する愚策強化を図っている。

ーーーちょっとコマーシャル!
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載せますので、皆さん、リンクと友達リクエストをお願いいたします。応援して下さい!


★フッターーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー★

農村消滅論から大転換
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「スマート・テロワール : 農村消滅論からの大転換」を読んで
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農楽しながら「”田舎暮らし”コミュニティ」を創る
(月刊『ザ・フナイ』より)
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無農薬玄(白)米の販売
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