2013年8月10日土曜日

蓼科だより・304号〜田舎暮らし情報

★ーーーーーーーーーーーーーーー2013年8月10日(土)★
★テーマ:出穂(しゅっすい),狸と知恵比べ,「産直コペル」

     暴力に対抗できる物差し
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 毎年同じ頃ですが,今年は8月4日朝出穂(しゅっすい)を確認しました。まばらでしたがあちこちで散見できました。
 出穂の特定日は8月7日としました。「としました」というのは,稲から穂が出てくるのは一斉にではなくバラツクからです。岩澤信夫先生の本によると,「一般的に出穂というのは穂が40%出た時をいいます」とあるからです。

 穂が出ると続いて花が咲き始めます。稲の花は本当に小さなもので我々が見るものは穎(えい:この時期の籾殻のこと)の外に小さな白いゴミのように見える葯(やく)と呼ばれるおしべでだそうです。頴が1時間ほど開いておしべを出して閉じてしまうのだそうです。
 下記URLを開いてください。中に図解の写真があり,良く判ります。
http://www.google.co.jp/search?q=稲の花&client=safari&rls=en&tbm=isch&tbo=u&source=univ&sa=X&ei=LiYGUo7mF8m5lQWumoGIBg&ved=0CCsQsAQ&biw=979&bih=826

 開花・受粉すると15日ほどで頴の中に米の形が整い,それから二十日ほどで米が満杯詰めになるのだそうです。これを登熟(とうじゅく)と言います。更にバラツキのタイムラグ14日を考えると,開花から約49日目(15+20+14)が刈取り適期となるといいます。

 私の場合,8月7日が出穂ですから,そこから計算すると9月26日頃が刈取り適期となりそうです。天候の加減で多少前後しますが,例年そんな頃に刈り取っています。
 今年は一応,9月29日(日)に予定するつもりです。稲刈りに参加ご希望の方は予定しておいてください。正規のお知らせと確認は改めてさせて頂きます。
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 先週からあたりから,キュウリとトマトが採れだしました。ですが,今年は全般的に野菜の育ちが悪いと皆さん言っていますし,私も例年と比べると悪いです。夫婦二人だけでは余るので,息子家族にも分けています。

 ナスとピーマンの収穫はこれからです。長崎の妻の叔母が種を送ってくれる七角オクラはようやく花が咲き始めました。食べるホウヅキは苗作りに失敗し,苗をもらってきましたが,やはり一番花が咲いたところです。
 今日はミョウガの初収穫ができました。昨年は品質が良くて皆さんから好評でした。ご希望の方はご予約を入れて下さい。

 トウモロコシは2週間毎に6回種蒔きしました。現在3回目のものを食べています。問題の狸・ハクビシン対策ですが,昨年同様にラジオと電灯をタイマーでセットしましたが,最初のトウモロコシは半分ほどやられてしまいました。
 これは知恵比べだな,と思い,タイマーの性能を上げ仕掛けをバージョンアップしました。時間を変えて10回までセットできるタイマーがたったの900円で売ってましたので,それを使いました。セロファンをかけて電灯の色を変えたり,タイマーのセットを変えたりして,狸の学習効果を混乱させているのです。
 2回目,3回目のトウモロコシはやられていません。今のところ私が勝っています。(笑)

ーーーーー産直新聞社が隔月刊誌「産直コペル」を創刊

 メル友の毛賀澤明宏氏が社長兼編集長です。
 産直新聞は,長野県内の直売所や加工所をつなぐネットワークの新聞として2006年から発行されてきましたが,今回,直売所の全国的広がりの中で全国誌として発行されることになりました。
 この業界の情報誌としては唯一のものではないでしょうか。

 この創刊号の中に,これは注目すべきという記事を見つけました。それはレタス王国として有名な長野県野辺山高原川上村の藤原忠彦村長(全国町村会長)がTPPについて本音と思われることを語っていたからです。その要点だけ引用致します。

<「TPPは包括的な協定だから大変,難しい問題だ」と前置きしながら。
 「結局,対応策としては二極分化せざるをえないのではないか。外国への輸出などを含めて競争力のある大型農業・大型農家は,自由経済の競争原理で発展を目指す。
 他方,山間地の地域を地域として成立たせているような農業は,国が手厚く保護政策を取り,その下で,継続的な発展の道を探るべきだ。
 後者は,経済政策の視点だけではなく,地域政策の側からも位置付けられなければならない筈だ」 >

(私)この考え方こそ、TPPに対する農業者の答えではないでしょうか。藤原村長が先頭にたって台湾,香港に野菜を輸出しているからこそ理解でき言える内容でだと思います。
 私はかねがね農業と農家は違うと考え続けてきました。農業と農家の両方を束ねている村長だからこそ言える内容ではないでしょうか。条件はついていますが,TPP容認論だと思います。
 この発言の中でハッキリ見えてくることは,農業政策と農家政策を分けることです。当然の帰結であり,そうするしかないと思います。業でないものを業としてきたところに問題の根源があると思っていたからです。

 正直言って,産直新聞がTPP容認論を記事にするとは思っていませんでしたので驚きました。誌名に「コペル」が入っている訳が判りました。コペルとはコペルニクスのことだそうです。
 ただ,地動説は認知されるまでに数百年かかったそうですが,認知されようとされまいと地球は動いていたから問題はなかったのですが,TPPはそうはいきません。認知しないと日本は前に進めないのではないでしょうか。

ーーーーー(暴)力を正しいとする物差しに対抗できる物差しは?

 ありがとうございます。前回メルマガの私の下記問いに対して,カナダ在住の小林徹さまが意味の深い提言を下さいました。ご了解を頂いて披露させて頂きます。<>内です。

(問)(暴)力を正しいとする物差しに対抗できる物差しは,いったいどんな物差しになるのでしょうか。私には判りません。どなたかご教授をお願い申し上げます。
< 以前、私は、ある新聞に連載していたエッセーの中で、イー・オリョン教授の「縮み志向の日本人」という本を、ご紹介させて頂いたことがあります。その中の一文が下記です。

「枯野(からの)の船」
 前回、「縮み志向の日本人」について述べましたが、この最終章で、著者のイー・オリョン教授は、日本の将来進むべき道へのヒントは未来にあるのではなく、過ぎ去った昔の時間にあるとして、「古事記」のなかに出てくる「枯野の船」の神話をあげておられます。
 その神話の解釈の素晴しさゆえに、私はこの本をクラシック的名著であると見なしているのですが、まずはその神話から。(武田祐吉氏訳)

 「この御世にとのき河の西の方に高い樹がありました。その樹の影は、朝日にあたれば淡路島にいたり、夕日にあたれば河内の高安山を越えました。そこでこの樹を切って船に作りましたところ、非常に早く行く船でした。
 その船の名は枯野といいました。それで、この船で朝夕に淡路島の清水を汲んで、御料の水と致しました。この船が壊れましてから、その船材で塩を焼き、その焼け残った木を取って琴に作りましたところ、その音が七郷に響きました。」

 これを、イー・オリョン教授は、次のように解釈しておられます。

 「高い樹を切って船をつくるということは、巨大な樹木が縮小されたことを意味しますが、逆にその縮みによって巨樹は可動的なものになり、もっと広い海を走ることができるのです。
 また、その舟は焼かれたからこそ、たえず流動する海から塩をつくることができ、美しい琴の音を呼び起こすことができたのです。

 塩は結晶した小さな海なのです。そこには暴風も荒波もありません。腐敗するものを防ぎ、生命の血になるのです。そして、琴の音は人の心を揺さぶり、船が走った海よりもっと広い七郷に響いたのです。」

 これからの日本のめざすべき道は、巨大主義にあこがれて拡がり志向にいくようなことはせず、人類とともに生きていく繁栄の国際感覚を身につけ、万人に共感を与えうる生命の響、つまり真の文化がもつ力を身につけることだ、と、教授は述べておられます。

 私は、この力こそが、今、非力に見えたとしても、長い歴史の目で見れば、安江さんの求めておられる物差しになるのではないかと思っております。

 さらに、この万人に共感を与えうる生命の響は、私が「穏やかな道」という文の最後で、「やさしい音」とは、自分の中から沸きおこってくる泉の音だと書かせていただいた、まさにその音と、同一の響きを持つものと確信しております。
 一人一人の心の中から沸きおこってくる泉の音だからこそ共鳴して、七郷に響き渡るのではないでしょうか。>

(私)「安江さんが求めておられる物差し」と言われましてもイメージするのが難しいです。しかし,これだ,これしかない,と思ってしまいました。

 日本にはいろんな平和と国際貢献に関する運動があります。その最たるものが,いつの間にか自然消滅したようですが非武装中立論であり,今も続いている反核・反戦・平和運動だと思います。しかし,わたしはこの運動に組する気にはなれません。

 言葉と反対だけで,中身があるとは思えないからです。この運動をしている人々の話しを聞いていると,兵隊さんは皆人殺しで戦争が好き,原発をやっている人々は金儲けのために核をすき好んでやっているように聞こえます。ですが,そんなことはありえないと思っています。

 戦争と人殺しを一番したくないと思っているのが兵隊さんで,核の恐怖に戦きながら仕事しているのが原発従業員ではないでしょうか。

「穏やかな道」は2005年に小林様から頂いた小論文です。北米大陸のネイティブ・インディアンの教えを元に,当時,姉歯建築士による耐震偽装事件によって日本の建築業界・官界・学会が大混乱していた時に,日本の世情を憂えてカナダから送っていただいたものです。

 このメルマガに転載するには長過ぎるのと,大勢の方にお読み頂きたいので,NPO法人信州まちづくり研究会のブログに掲載させて頂きました。
 下記URLからお読み下さい。

 イー・オリョン教授を知りませんでしたが,下記Wikipediaで読むと韓国の学者で大学やマスコミで活躍しており,東京大学とも縁のある方のようです。
 1982年、日本語で書かれて出版された『「縮み」志向の日本人』(学生社)は日本でベストセラーになり、国際交流基金大賞を受賞されたそうです。詳細は下記URLをご覧下さい。

ーーーーーフッター

「穏やかな道」

「田舎暮らしコミュニティ」のすすめ!
http://shinshumachidukuri.blogspot.com/2011/10/blog-post_9187.html

農楽のすすめ!
http://tateshinadayori2.blogspot.jp/2011/08/blog-post_26.html

”田舎暮らし”動画がYoutubeに300本以上
http://jp.youtube.com/user/takasukey

メルマガ「蓼科便り」のアーカイブス
http://tateshinadayori2.blogspot.com/
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