2015年3月23日月曜日

蓼科だより・387号〜田舎暮らし情報

★ーーーーーーーーーーーーーーーー2015年3月21日(土)★
★テーマ:農業機械を頂いた、農協改革と農業改革、

     戦後70年談話、消滅可能性と首長選挙
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 今日はお彼岸の中日。寒さ熱さも彼岸までといいますが、毎年感じるのですが、春への変化は急激に来るように思います。つい数日前まであった日陰の雪の塊が、ふと気がつくとほとんど消えかけています。そして、日向には草の緑が目立つようになり、今日は蝶が舞うのを見ました。テレビでは桜前線がニュースになっています。

 また今日は、とてもありがたいことがありました。近くの兼業農家さんから素敵なプレゼントを頂きました。田畑を耕すヤンマー耕運機、畑作用のイセキ管理機、2条植えのイセキ田植機、1条刈りのバインダーです。何れも20年以上前の機械ですが、オイルと燃料を点検して始動すると、どの機械も一発でエンジンがかかりました。

 その農家さんは、お年が89才、5年前に農業を止め、以来機械類は機具庫の中で眠っていたものです。片付けながら、点検しながらの移動作業だったので、正味一日かかりましたが、どの機械も調子が良いので、今年の作業が楽しみです。

 困ったのは、お代を受け取って頂けないことです。これだけの機械を新品で買えば、ゆうに100万円を超えるでしょう。知合いということもあるのでしょうが、つくづく人の良さを感じました。最後には、今年の新米でお礼させて頂くことで了解して頂きました。

 兼業農家の農業機械は、一年に1回しか使わない機械が多いので、経年はしていても、機械自体の老化はあまり問題ないと思いますが、20年以上の技術進歩は大きいので、その点が心配です。
 特に気がかりなのは田植機です。不耕起栽培では、慣行栽培の稚苗5〜6本植えと違い、成苗1〜2本植えにしますので、苗を摘み取る部分の性能が重要です。これについては先輩諸氏に教わろうと考えています。昨年、お借りした4条植え田植機では植付けの欠落が多くて、補植に手間取りました。

 いずれにしても忙しくなりました。今年はNPOの”田舎暮らし”コミュニティづくりの活動が本格化しますので、スケジュール管理が大事になります。
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 去る19日には、武石の宮下さんのところで種蒔きの実習をさせて頂きました。園原先生のところで学習して以来の体験です。酒米450枚、コシヒカリ300枚でした。便利な機械があって、1時間に150〜200枚くらいはできます。成苗用のオート播種機です。

 あいにく雨降りで日照がなかったり、他の都合があって1日で終りませんでしたが、段取りが整っていれば、1日に千枚位は可能かなと思います。やはり農業の基本は機械化による効率・能率の向上が鍵ですね。農楽とは根本的に違います。
 しかし、国もJAもこれらを一緒くたにして論じています。矛盾だらけの農政になるのは当然の帰結です。

 因に、ネットで「ことばの意味」をみると、次のようにありました。
<一般的に「能率」は一定の期間でこなせる仕事の絶対量を表すのに対し、「効率」は仕事の成果とそれに要するさまざまなコストとの相対的な比較を表す傾向があります。>

ーーー農協改革と農業改革

 櫻井よしこ氏が週刊新潮に下記のような記事を寄せています。そこに書かれていることは間違いだとは思いません。

<・・・29日に安倍政権が決定した農協改革案は、全国農業協同組合中央会(JA全中)が下位の地域農協に強い監査権限を持ち続けることを許さないという大事な点はきっちりおさえた。4年後、全中は農協法から外れて一般社団法人になり、各農協に対する監査権限を失う。
 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹の山下一仁氏が次のように説明した。

「農協法に担保されたこの監査権限こそ、全中は守りたかった。農協組織の末端まで支配できる最重要の手段ですから。安倍首相側が全中を農協法から外すために出した手練手管の策が、農協加盟の准組合員の数を規制するという条件でした」

農協の正組合員は467万人、517万人の准組合員のほうが多い。農協は准組合員の給与を預り、保険を扱い、生活用品のあらゆるものを買ってもらっている。地域農協が集める金はJAバンク(JA・信連・農林中金)に預けられ、その預金量は90兆円に達する。三菱東京UFJ銀行に次ぐ日本第2のメガバンクだ。・・

・・・「地域農協にとって准組合員を規制されたら経営が成り立たない。絶対呑めない条件を出された地域農協は、准組合員を取り上げられるくらいなら、全中の特権であり、その下で自分たちも行使している監査権限などを諦めようと考えたのではないでしょうか」・・・>


(私)しかし、私にはこれは農業改革の本質とは思えません。准組合員の問題もこれは金融・銀行問題です。大事ではないとは言いませんが、問題の本質ではないと思います。本質は農業そのもの、現場(=農地)にあると思います。私には、全中問題は農業問題の目くらましのように感じられます。

 大問題は、米が生産過剰が現実となり生産調整を始めた1970年から現在に至るまで、農水省はひたすら田んぼだけ(100%ではないが)を造り続けたことです。約40年間兆円単位の税金を注ぎ込み続けました。誰が考えてもおかしくないでしょうか。要らないものを造り続けたということです。

 結果として、多額の税金を注ぎ込んで造った田んぼの40%が減反(作ってはいけない)になっています。何故余ると判っている田んぼを造り続けたのでしょうか。土手の面積と耕作面積が同じになるような急傾斜地にも何故田んぼを造り続けたのでしょう。
 余剰米を輸出して外貨を稼ぐとという計画があったのであれば理解できないことはありませんが、どう考えてもそのような意図も可能性もあったとは思えません。

 私の周辺では、山沿いの傾斜地の田んぼでは、圃場整備したにもかかわらず、耕作が放棄されています。米作適地ではないのです。しかも驚くことに、土手の草だけ刈っていれば、中山間地農業直接支払事業の給付金がもらえるのです。何も作っていないのにです。
 もしこれが牧草地になっていれば、結果は変わっている筈です。

 何故、畑作と牧畜を無視したのでしょうか。誰が洗脳したのか判りませんが、先進国の農業を研究せず、畑作はダメと決めつけていたように思います。日本の四国ほどしかない小国のオランダが世界第2位の農産物輸出国であることをどう理解したらいいのでしょうか。
 食料自給率40%という現状は、政策を過った当然の結果ではないでしょうか。しかも酷いことに、自分達の失政の結果を逆手にとって、不毛なバラマキ補助金行政を続けてきたのです。

 私は、『スマート・テロワール-農村消滅論からの大転換-』(松尾雅彦著学芸出版社)を読んでこれらのことが判りました。もやもやしたパズルがすっきり解けました。
 全中の改革を無意味などというつもりはありませんが、農業の現場を後回しすることは優先順位を間違えています。また、世の論者もメディアも何故このことに触れないのでしょうか。

 先進諸国の農業は、穀物栽培と野菜栽培と牧畜とのバランスの上に成立っていると松尾さんはリポートしています。全農地をゾーニングし直して、適地敵作のバランスの良い農業に転換すれば日本の農業は再生すると説いています。
 これは革命的な大事だとは思いますが、私には日本の再生はこれしかないと思えてなりません。小手先の改善政策をいくら積み重ねても補助金をいくら注ぎ込んでも、農地活用の根本的な転換なしには農業と農村の再生はあり得ないと思えてなりません。しいては地方の活性化無しに日本全体の向上もあり得ないと思います。

 現状のままでは、農村と農業は疲弊の一途を辿ります。毎日いろんな人とあった時に、「立科町の10年後をどう思いますか」と尋ねてみますが、一人として希望を持っている者がなく、「どうしたら良いのでしょうか?」と尋ねても、「どうしょうもない。判らない。20年後には近所の7割が空家になる。」というばかりです。

 日本中の農村が生命力を失った時に、東京だけが生き残れると考えている人はいないと思います。舛添知事は、オリンピック招致だけに飽き足らず、東京にカジノを造りたいと運動しているようですが、東京だけ良ければいいと考えているのでしょうか。

 減反政策を調べていたら、Wikipediaの記述の中に下記がありました。

<・・戦後の食糧難は深刻を極め、1946年(昭和21年)の東京・上野駅での餓死者は1日平均20.5人で、大阪でも毎月60人以上の栄養失調による死亡者を出した。
だが、米は引き続き食糧管理制度に基づく政府の固定価格での買い上げだったためヤミ米が横行、ヤミ米を食べることを拒否し法律を守った裁判官山口良忠が餓死するという事件も起こっている。・・>


http://ja.wikipedia.org/wiki/減反政策

(私)戦争の真の原因は飢餓だと私は思っていますが、つい6070年前に上記のような現実があったこと、5060年前まで娘が売られ公娼宿が日本中にあったことを忘れてはいけないと思います。 
 戦前まで、飢饉と飢餓が1020年毎くらいに起きていたことも記録に残っています。

ーーー戦後70年談話

 HAL通信3/17より引用します。
< 安倍晋三首相が今夏発表する戦後70年談話に関する有識者会議座長代理の北岡伸一国際大学長が、シンポジウムで「侵略して悪い戦争をして、たくさんの中国人を殺して誠に申し訳ないということは、日本の歴史研究者に聞けば99%そう言う。私は安倍さんに「歴史学的には侵略だ」と日本は侵略だと言ってほしい」と述べた。・・・

・・・焦点の70年談話ですが、この談話で安倍首相が「侵略した」とはっきり言ってしまえば、日本は永遠に「犯罪国家」となってしまいます。
以前のメルマガで書いたように、国際条約で侵略戦争を定義したのは、1919年のパリ講和会議の「国際紛争を解決する手段としての戦争を放棄する」という、いわゆるパリ不戦条約のみです。

この時、自衛の戦争は放棄対象から除かれ、「侵略」の定義は「当事国の自国裁量権に任せる」とされました。つまり、戦争当事国が「侵略戦争」と言わない限り侵略国家とならないということなのですが、東京裁判では、侵略戦争を行った罪でA級戦犯7名が死刑となりました。
ちなみに、7名の被告はすべて、黙秘か否定で「侵略」を認めませんでした。・・>
(私)最近私は日本人の戦争観に間違いがあるのではないかと疑問を持っています。戦争を犯罪だと考えているのではないでしょうか。好ましいことでないことは当然ですが、戦争は正当な国事行為なのだということが理解されていないように感じます。

 Wikipediaを読むと、次のようにありました。
<戦争とは、おもに内政問題あるいは外交問題の武力解決であり、国家による政治の一手段である。>

 私は学校で上記のように勉強した記憶がありません。習ったのは、悲惨な戦争、侵略戦争、独立戦争、でした。戦争の意味については教えてくれなかったように思います。
 戦争=国家の犯罪=侵略戦争と短絡しているのではないでしょうか。

 更に、Wikipediaの「不戦条約」には次のような記述があり、HAL通信に書かれている通りです。

<・・・自衛戦争の対照概念たる「侵略」の定義がおこなわれておらず、・・・国際法は相互主義を基本とするので、「侵略か自衛か」「どこが重要な地域であるのか」に関しては当事国が決めてよいのであり、当時の世界中の学者から、「侵略」は事実上の空文と評されていた・・・。>

http://ja.wikipedia.org/wiki/戦争
http://ja.wikipedia.org/wiki/不戦条約

(私)浅薄な知識でこのような大事を論じてはいけないと思う一方で、国民の大部分である素人の感じ方を披露すべきとも思っています。HAL通信の内容や、Wikipediaの記述から読み取る限りでは、北岡伸一国際大学長の冒頭発言は間違っていると思わざるを得ません。

 しかし、私なんぞより遥かに知識も能力も高いと思われる名門大学の学長さんの仰ったことですから、きっと凡人の知り得ない理由があるのだろうと思いますが、どなたかこの学長さんに「馬鹿にも判るように説明してやってくれ」をお願いして頂けないでしょうか。

ーーー消滅可能性が高い上位100の市町村の過半数の首長選が無投票!

毎日新聞ニュース3/17より引用します。

< 民間の有識者会議「日本創成会議」の分科会(座長・増田寛也元総務相)が昨年推計した「消滅可能性都市」で、消滅可能性が高いとされた上位100の市町村のうち、過半数の52市町村で直近の首長選が無投票になっていたことが分かった。地方の衰退が、民主主義の基本である選挙にも影響を及ぼしている。・・・>

▽消滅可能性都市:上位100市町村、無投票の首長5割 現職17人、一度も選挙経ず
http://mainichi.jp/m/?zNzBzx
▽消滅可能性都市:上位100市町村、無投票の首長5割 消滅可能性都市を指摘した増田寛也元総務相の話
http://mainichi.jp/m/?L3BluA

(私)幸い立科町は、上位100市町村には入っておらず、首長選も町議選も行われそうです。辛うじてというところでしょうが・・。

フッターーーーーーーーーーーー

農楽しながら「”田舎暮らし”コミュニティ」を創る
(月刊『ザ・フナイ』より)
http://shinshumachidukuri.blogspot.jp/2014/11/blog-post.html

団塊世代の地方移住が日本を救う
http://shinshumachidukuri.blogspot.jp/2014/11/blog-post_10.html

無農薬玄(白)米の販売
http://daylanbo.blogspot.jp/2013/11/blog-post.html

籾殻燻炭の販売
http://daylanbo.blogspot.jp/2012/02/blog-post.html

農楽のすすめ!
http://tateshinadayori2.blogspot.jp/2011/08/blog-post_26.html

”田舎暮らし”動画がYoutubeに300本以上
http://jp.youtube.com/user/takasukey

メルマガ「蓼科便り」のアーカイブス
http://tateshinadayori2.blogspot.com/
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