2013年2月23日土曜日

蓼科だより・280号〜田舎暮らし情報

★ーーーーーーーーーーーーーーーー2013年2月23日(土)★
★テーマ:寒さと種籾の浸種,TPP問題,民主主義は次善の善
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 この一週間は雪と寒さで,本物の冬を実感しました。昨年の最低気温は2月20,21日の連続マイナス15℃でしたが,今年の同日はマイナス13℃と12℃でした。私の観測の限りでは,今年は昨年より若干暖かいです。家の周りの雪は約20センチほどで,真っ白で美しいです。

 今年は,米作りを初めて5年目,無農薬にして4年目,不耕起にして3年目になりますが,いよいよ苗作りに挑戦です。もちろん,種籾は自分のもの。その元は園原先生のものです。来週26日からスタートします。

 去る20日,冬にはほんの僅かしか流れていない小さな小さな沢水を取水して,種籾の浸種(しんしゅ)の仕掛けを作りました。
 仕掛けなどといっても単純なもので,先ず大きなポリオケを置き,その上に小さなポリオケを置いて,そこに塩ビパイプで引いてきた水を入れるだけです。上のタンクはゴミ沈殿用で,溢れた水が下のタンクに入るだけの仕掛けです。
 たったこれだけのことですが,量は,温度は,止まりはしないか,凍りついてしまうのでは,等々考えた末の結果です。除雪して,コチコチの大地を出して,土は掘れないので木っ端で水平を作って設置しました。これを考えるのが楽しいのです。ブログの方にその写真を載せました。

 浸種(しんしゅ)とは,種蒔き後の発芽を良くするために水に浸しておく作業工程です。不耕起栽培の場合は3℃〜5℃の冷水に約1ヶ月浸けます。昨年,稲の生理学でこの原理を学びました。

 育苗に必要な投資は,ビニールシート代と温度調整のための発熱ケーブルとサーモスタットで,合計しても苗を買うより安上がりです。手間賃はとりあえずゼロの計算です!(笑)しかし,来年からはこの投資は要りません。
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 20日,パナソニックのハイビジョンビデオカメラHC-V600Mが,町内の馴染みの電気屋から届き,それ以来ワクワクしています!妻が私の寒風の中での選定作業に対してボーナスをくれたのです。ず〜と,欲しいと思っていたんですが言い出せなかったのです。気が弱い私ですから・・。

 ざっくばらんに,「儲けはないと思うけど通販価格でやってくれるかい?」と問いかけたら,実績にはなるからと引き受けてくれたのです。それでも電気量販店より安かった。
 ハイビジョンビデオカメラは,私自身の再生のため,「田舎暮らしコミュニティ」をアピールするための情報発信にとって不可欠な道具です。次回の動画から画像が良くなる筈です。楽しみにして下さい。(微笑)

ーーーーーTPP問題の茶番劇!

 今朝の安倍首相記者会見で,TPPについて「聖域なき関税撤廃が前提でないことが明確になった」と発表がありました。最初から判りきった当たり前の結論ですが,JAやゆうちょの反対キャンペーンに洗脳された反対派説得のためのみごとな演出だったと思います。

 日本の首相の言うことは国民に信用してもらえないが,アメリカ大統領言わせれば大丈夫だろう,と計算しているのだと思えます。アメリカの属国だと言われてもしょうがないですね。

 一度世論形成されたものを覆すことの難しさだと思います。鬼畜米英,神風,原発安全神話,平和憲法神話等も同じではないでしょうか。

 先週ですが,「農業経営者」という農業月刊誌を出している会社から現在のTPP協定書全文和訳(ファイル)が届きました。細かくて長いのでとても全部読み切れませんが,項目をたどりながら要点に目を通してみると,とんでもないことが判りました。
 序章と20章の条文から成っています。以下,抜粋です。
 
<環太平洋 戦略的経済連携 協定
( TRANS-PACIFIC STRATEGIC ECONOMIC PARTNERSHIP AGREEMENT )

序章
ブルネイ・ダルサラーム国、チリ共和国、ニュージーランドならびにシンガポール共和国の政府は、以下のとおり決定した。

第3.4条 関税の撤廃
1. 本協定に別段の規定がある場合を除いて、如何なる締約国も、原産品に対して、既存の関税を引き上げたり、関税を導入したりすることはできない。

第3.8条 非関税措置
1. 締約国はWTO協定に基づく権利と義務に従い、又は本協定の他の規定に別途定める場合を除き、他の締約国からの物品の輸入、或いは他の締約国の領域に向けた物品の輸出に対して非関税措置を適用又は維持してはならない。

第3.12条 価格帯制度
1. チリは、法律18.525号の第12条とその後の改正法もしくは後継制度に基づき設定された安定価格帯制度を、当該法律が対象とする製品に対して維持する。

第3.13条 農業特別セーフガード

1. チリは、附属書3.Bに列挙する尐数の特定されたセンシティブ'sensitive(な農産品に対して、特別セーフガード措置を適用できる。>

(私)序章に示されているのは,TPPをの始めたはアメリカではないということ,アメリカも現在は非加盟国だということが判ります。『農業経営者』によるとルーツは日本の大平首相だそうです。

 第3.4と第3.8は大目標であり,自由貿易の基本原則を示しています。日本の工業製品が世界を席捲し,我々が豊かになったのはこのおかげです。結果として,外国の競争相手をたくさん潰したと思います。
 世界は技術力という武器で競争相手を倒す(潰す)ことは認めています。経済侵略という言葉がありましたが許された侵略行為です。一時,ニューヨークのロックフェラービルを買収したこともありました。

 金融機関と保険会社が被害を受けるという話しがありますが,3.8の「非関税措置の禁止」に引っかかるからです。具体的には,ゆうちょやJAが受けている特別待遇がその対象になります。不平等な条件下での正常な競争ができないからです。
 日本の一般金融機関はよく我慢していると思います。不平等な競争を強いられているのです。しかし,それでは外国の金融機関は参入できないので,3.8条は当然だと思います。

 一番の驚きは第3.12と3.13です。チャント”例外規定”があるではありませんか!WTOの規定が準用されています。いったい,今まで日本がやってきたことは何だったのでしょう!

 あけてビックリです。TPPを論じている皆さんはこの協定書を読んだ上で論じているのでしょうか。不思議に思います。何故こういうことになるのか理解できません。わたしがどこかおかしいのでしょうか。

 過去の農政の失敗とはいえ,業としての体裁をなしていない日本の零細農家に影響があるのは間違いありません。その農家をどうやって説得(騙そう)しようかと悩んだ結果がこういうこと,ということでしょうか。

 「日本の農業を守る。農家を守る」と叫び続けてきた自民・農水省が,自ら方向転換したら農家を裏切ることになるので,内外の圧力よって押し切られた形をとるしかないのでしょう。額に汗しながら反対を訴え続ける農水大臣の苦労が偲ばれます。

 自民党も,ここまで芝居しないと過去を方向転換することはできないということ,政治手腕が問われるというのはこういうことなんでしょうか。今回は,良いタイミングでオバマ大統領のお墨付きを頂いた安倍首相の手腕はお見事ということですね。
 こういうことから推測すると,半世紀にわたって残虐悪玉日本を中国国民に叩き込んでいた中国が日本に対する認識を変えることなど,共産党政権の下では夢の又夢としか思えません。

詳しく知りたい方は,下記Wikipediaをどうぞ。

ーーーーー民主主義は次善の善!
 独裁政治について,大前さんが興味ある発言をしています。

『大前研一ニュースの視点』より
<ベネズエラが独裁国家か否かは意見が別れるところでしょうが、 近年、一般的に独裁体制と言われる国が民主化した事例を見ていると、 私は次のように感じてしまいます。

 すなわち、「民主化した国家よりも、独裁体制のほうが安定していた」ということです。民主主義を否定するつもりはありません。
 しかし、現実的には「ギリシャの教訓」からも分かるように、民主主義は「啓発された市民」を前提に成立するものです。スイスのように数百年にわたって自らを磨き続け、村レベルから 統治について試行錯誤しているような国であれば、民主主義は 非常に有効でしょう。
 翻って日本をみてみると、今の日本のマスコミ、政治家を前提とした場合、選挙をしても国が良くなっていないのは明らかです。
 では独裁者に全面的に賛成するか?と言えば、そうではありません。しかし,BenevolentDictatorship(善意ある独裁)」であれば、 結果的に効率の良い国家運営ができるというのも事実です。>

(私)これを読んで,内村鑑三が奥さんに頼まれてドイツ語(死後日本語訳)で書いたという「代表的日本人」の中の上杉鷹山を思い出しました。民主主義について書かれていたことを今でも覚えています。
「民主主義の投票箱に暴力が入らないと言う保証はない。一番理想的な政治体制は君子による封建制度である。しかし,残念ながら君子は存在しない。従って民主主義は次善の善である。」
 という趣旨だったと思います。

 この本より後のできごと(内村鑑三は1930年没)ですが,民主主義の下でヒットラーも東條英機も誕生しました。(ムッソリーニはクーデターでした)
 一方,君子がいれば,大前さんのいう善意ある独裁ができるのも事実で,長い歴史の中にはそういう為政者もたくさんいたのではないでしょうか。上杉鷹山もその一人でしょうし,大前さんはシンガポールのリー・クアンユー氏を挙げていました。

「民主主義は「啓発された市民」を前提に成立するもの」という言葉は重いですね。

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「田舎暮らしコミュニティ」のすすめ!
http://shinshumachidukuri.blogspot.com/2011/10/blog-post_9187.html

農楽のすすめ!
http://tateshinadayori2.blogspot.jp/2011/08/blog-post_26.html

”田舎暮らし”動画がYoutubeに300本以上
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