2015年8月9日日曜日

蓼科だより・406号〜田舎暮らし情報

★ーーーーーーーーーーーーーーーーー2015年8月1日(土)★
★テーマ:草刈り、圃場構造改善事業、カルビーの戦略、
     ヒトラーのスタジアム、民主主義の危機、
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 暑中御見舞い申し上げます。

 標高700mの蓼科の我家でも、汗が流れて、昼寝から覚めました。温度計は33℃!
 草刈りの一週間でした。朝6時半頃から約1時間、4枚の田んぼを順番に刈りました。朝食に戻る時には、着ている衣服はズボンの一部を残して汗でビッショリです。全部着替えて、朝食後は屋根の上でペンキ屋を1〜2時間。その後昼まで、畑作業ですが、昼に上がる時にはやはり全部着替えです。
 2時まで昼寝して、陽がかげるまでパソコンして、5時頃から暗くなる7時頃まで畑仕事。シャワーの気持ちよさと、晩酌のビールの美味しさは格別です。

 草刈りをしながら毎年同じことを考えます。農水省は半世紀かけて行った田んぼの大改革「圃場構造改善事業」の計画の中に、何故草刈りの機械化を入れなかったのか、です。
 草刈りが農地放棄の大きな原因の一つになっているからです。高齢になっても草刈りができる土手の高さはせいぜい7〜80センチです。斜長で1mほど。それ以上になると斜面に立って作業しなければならないので、体力的にも安全性からも無理です。

 私の田んぼは、土手の低い所でも2m、高い所は4mもあります。斜面に足を踏んばって草刈り機を振り回すのは非常にしんどくて、危ないです。人手を頼めばお金がかかります。元々赤字なのでそれはできません。結局、貸し出すか放棄するかになります。
 条件の良い田んぼ(大きくて形が良くて土手が低い、30アール以上)なら、借り手もいますが、そうでなければタダでも借り手がいません。

 稲づくりは、草刈り以外は全部機械化されました。専業農家が使っている乗用農業機械であれば、1反歩(10アール)ほどの田んぼなら、トラクターによる秋耕起、春耕起と代掻きがそれぞれ15〜20分、田植機が15〜20分、コンバインが20〜30分でしょう。全部併せて100分ほどです。
 ところが、私の1反歩の田んぼの草刈りは1回に3時間かかり、年間に3回やりますから、540分になります。しかも、この作業は生産性への貢献はゼロです。美観だけです。何故、稲を作る作業が100分で、稲作りに関係ない作業に540分なのか、何故草刈りだけ人力なのでしょう。

 「圃場構造改善事業」の標準設計畦巾は1mです。土ですから、平らな部分は60〜70㎝しかありません。これではどんな小型機械でも危なくて上がれません。
 もし、機械が動けるだけの設計がしてあれば、機械を造ることなど簡単ですし、100ヘクタールに1台位の機械を共同で持てばオペレーター一人で間に合います。耕作放棄地も減る筈です。

 但し、これは立科町のような中山間地の話です。平野部の田んぼには土手がありません。
 平野部の出身者が「圃場構造改善事業」を計画したか、草刈りなどやったことのない技術者が設計したのか、それとも米づくりを農業(原価計算する)としてではなく、農家(兼業なのでコスト無視、赤字は節税になる)の仕事として考えたか、ですね。

 そもそも、40%も減反、或いは転作している訳ですから、土手の高い所などを田んぼにしたこと事態が間違っていたのではないでしょうか。農業政策の根本に関わる問題だと思います。
 『スマート・テロワール-農村消滅論からの大転換-』はこの問題に直言しています。農村の問題は国の存立の問題であり、生産者の問題は消費者の問題でもあると思います。農業者以外の方も是非一緒に考えてください。

ーーー株式会社カルビーの商品戦略と農家と二人三脚の取組

 去る水曜日でしたが、「スマート・テロワール」の松尾様をご紹介下さったM様が、株式会社カルビーの新聞情報をPDFで下さいました。
 一つは日経MJ7/20。株式会社カルビーの会長さんの言葉です。
「日本の朝食は、美味しくて時短の商品が伸びている。その代表が現在はパンである。そのジャンルで、米国人が食べて、日本人が食べていないものがシリアルである。米国の市場1.3兆円、日本は250億円。これは少なすぎる。1000億円はいける筈。グラノーラとコーンフレイクで500億円にする。」

 もう一つは、NS7/29です。
「全国2000戸のバレイショ生産農家をたった34人のアドバイザーがきめ細かく収量、品質、農法のアドバイスをしている。目的は効率を上げること。全てが結果としてコストダウンにつながり、カルビーは値上げをしていない。
 経営者である生産者を畑に縛り付けないことが大事。高齢となった生産者が離農することを避けるため、数千万円の大型収穫機械ハーベスターを導入し、掘出し、トラックへの積み込みを、1日に12ヘクタールこなす。結果、やめて行く農家が減り、生産農家が増加に転じた。
 石とバレイショを自動で分ける機械も導入した。苗作りの研究に取組み、そうか病の耐性品種を開発し来年度から作付けする。」


(私)これが農業のあるべき姿ですよね。私がお世話になっている株式会社カルビー相談役松尾雅彦さんは、一番大事なことは農業にTQC(トータル クオリティー コントロール:統合的品質管理、または、全社的品質管理)を導入することだと仰っていますが、その通りだと思います。日本の製造業はそれで成功したんだ、と。
 
 「伸びる市場を狙え」も当然のことですが、日本の農業はどうだったのでしょうか。国民の消費量は減り続け、海外には安いものが溢れてる米に何故拘り続けたのでしょうか。これには深い訳(アメリカの圧力?)があるようですが、それにしても自身の「消滅」を目前にすれば、今が限界と言うべきではないでしょうか。

株式会社カルビーの業績
http://www.calbee.co.jp/company/suii.php

ーーー新国立競技場:ヒトラーが建設させたスタジアムとの差は歴然

 JBpressからの引用です。下記URLから全文をどうぞ。古いものをどんどん壊してしまう日本と大事にする西欧人との違いは何なのでしょう。もしかしたら、20年で建替える神社遷宮に原因するのかな、などと、素人の夢想です。

<・・・ベルリン市内、旧西ドイツのエリアでも西端「シュパンダウ」近く、人民のために人手をかけて整えられた「グリューネヴァルト」(緑の森)の北辺に接するようにして「ベルリン・オリンピック・スタジアム」はほぼ創建当時のままの姿で建っています。・・・
・・・193436年の創建ですから、現在すでに約80年が経過していますが、全く古びていません。それについては後で触れるとして、まずは駅からの動線の考え尽くされていることに注目せざるを得ません。・・・>
ドイツ人から完全に見下された新国立競技場
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/44382

(私)何故でしょう。こういうふうに言われると、日本が惨めに思えてきて、エコノミック・アニマルという言葉が頭を過ります。しかし、もし東條英機が同じことをしていたら、日本人はどのように対応しているか悩ましい推理ですね。

ーーー民主主義の危機!
 大阪市の住民投票結果を見た時に、私は咄嗟にこの通りだと感じました。次のような既述があり、背筋が寒くなりました。
大阪で見えた「老人の老人による老人のための政治」・・・議会というのは納税者が税金を使う政府を監視するためにできた制度だから、使う人が払う人を上回ると、民主主義は機能しなくなる。・・・>
大阪で見えた「老人の老人による老人のための政治
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/43827

(私)
ここまで考えたことがありませんでしたが、言われてみればこの通りです。多数決をとれば、使う人が勝つ訳ですから、民主主義は機能しなくなります。大丈夫でしょうか。
フッターーーーーーーーーーーー

農楽しながら「”田舎暮らし”コミュニティ」を創る
(月刊『ザ・フナイ』より)
http://shinshumachidukuri.blogspot.jp/2014/11/blog-post.html

団塊世代の地方移住が日本を救う
http://shinshumachidukuri.blogspot.jp/2014/11/blog-post_10.html

無農薬玄(白)米の販売
http://daylanbo.blogspot.jp/2013/11/blog-post.html

籾殻燻炭の販売
http://daylanbo.blogspot.jp/2012/02/blog-post.html

農楽のすすめ!
http://tateshinadayori2.blogspot.jp/2011/08/blog-post_26.html

”田舎暮らし”動画がYoutubeに300本以上
http://jp.youtube.com/user/takasukey

メルマガ「蓼科便り」のアーカイブス
http://tateshinadayori2.blogspot.com/
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