2011年8月28日日曜日

農地政策の怪!!??

この記事の元は,平成21年5月に書いたものです。

その後,考えが変わった部分を《》内に追記しました。

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 産経新聞21/2/27,石破茂農水相の「ポスト麻生」という記事の中。

「・・前略。むしろ怖いのは,主に農業に従事している基幹的農業従事者の6割が65才以上のことだ。あと10年で75才以上と,極端な高齢化になる。平成2年から15年間の農業総所得も6兆1千億円から3兆4千億円に半減した。農地面積も減り,転用の歯止めがかからない。耕作放棄地は39万ヘクタールだ。産業として持続可能性があるといえるだろうか。後略・・」


《平成22年11月のことでした。「日本は世界第5位の農業大国」(講談社新書)という本にであい私の農業に対する認識は全く変わりました。上記産經新聞の記事は嘘ではないと思いますが,日本農業の負の側面だけを表している内容だと判ったのです。
 上記本を読んで頂くのが一番良いのですが,判り易く説明します。日本中どこの町でも衰退が問題になっている旧商店街を想像してください。旧商店街はどこも衰退しています。しかし,日本の商業(小売業)は衰退しているでしょうか?当然平気変動はあり,激しい競争もありますが大きな衰退はありません。
 そこで考えて下さい。旧商店街のデータだけ見せられて日本の商業を語ったらどうなるでしょうか?上記産経記事はそういう書き方なのです。》

<平成21年3月28日メルマガ「蓼科便り」より>
 前号に,「農地取得5000m2原則」の行政対応がおかしくないかという疑問を書きましたら,数人の方から本当にそうだという反応がありました。その一つをご紹介します。(「」内)

「全くそうですね。我が家も農地が400坪位となりますが、お金を払いながら仮登記です。役場に尋ねると(6〜7年前)『誰かに借りれば本登記ができる』と行政の人が教えてくれました。しかし、『仮登記のまま置いておくとどうなるか?持ち主が亡くなられて財産分与の時にどうなるか?』と聞くと,『それは答えられない』とのことで、『決まっていないか?知らないのか?』と続けますと,『知らないことにしてください』でした。
知合いの畑を適法な広さまで(一年契約,5000m2になるまで)借りて,正規の申請をすると農地がもてるようになると聞きました。しかし、我が家の畑では商品にするものは作っていませんが、じゃがいも、だいこん、落花生,等々を店で買うことはありません。立派に自給菜園として成り立っています。何故これが認められないのでしょう。畑は仮登記のままです。おかしな制度ですね。」

解説すると,農地法の縛りがあって,非農家では5000m2(1500坪)以下の農地は買えない(借用もできない)ので,400坪では所有権登記ができないのです。でも畑をやりたいので,最終的には移転登記することを条件に,取り敢えず仮登記を付けてお金を払って耕作しているのです。しかし,現在の法律では永久に仮登記のままです。こういう事案が日本中に山ほどある筈です。私もやったことがあるし事例を幾つか知っています。行政はこの現状をどうするつもりなんでしょうか?
 現実には、小さな農地を借りて野菜を作っている人がたくさんいます。違法ですが、大臣から村役人まで、そして農業委員会も、見て見ぬ振りをしているだけです。

一番問題なのは,役所の人間がごまかし方を指南していることです。「誰かに5000m2になるまで借りたことにすれば(農家になれるので)移転登記ができる」と。似たようなことが社保庁でありました。保険料が払えない会社の保険料を云々・・と。あれと同じです。法の執行者である役人がごまかし方を教えなければならないという状況は,この原則がおかしいという証明です。しかも好意によるごまかし指南だから始末が悪い。本当に良くないことなら好意でこんなことをするでしょうか?そして,これ(400坪でも良いですよ)を認めることがどんな社会的損失があるのでしょうか?

この原因は,誰が考えても現実離れしてしまった「農地取得5000m2原則」をそのままに放置してあるからだと思います。更なる問題は,これだけの不都合と不整合を全行政関係者がこの状況を知りながら何もしないことです。行政の事なかれ主義と無責任に思えてなりません。
行政のプリンシプル(原則)って何でしょう。建前は「日本の農業を守る」ためにとなっていますが、上記の現実を見たとき、そうなっているとは思えません。


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